第52話 レベル上げ

 3人とシロガネの成長が止まらない。

 100レベルを瞬く間に超えた。


【三人が物凄く強くなってる】

【オーク一撃ってなんなん】

【シロガネもな】

【底辺おっさん並みに強いかも】


「浸透撃と魔力操作のコンボが凄いな」


【おっさんも呆れてる】

【一撃必殺だからな】

【ヤエちゃんの魔法の使い方がえぐい】

【魔法毒な。あれはやばい】

【レベルってどれぐらいが平均なん】

【30が熟練、トップが60。100は神】

【じゃあ3人は神?】


「俺も驚いたよ。でも接近戦は任せられないな。俺の役目だからね。圧倒的パワーで蹂躙する。それが悪党のジャスティス」


【恰好良い】

【それにしても内部破壊は容赦ないな】


「3人とも何か覚えたいスキルはあるか?」

「私、疾風スキルが良いな。あのモチちゃんの神速の動き真似したい」

「計算スキルですわん。苦手で克服したいですわん」

「跳躍スキルにゃ。東京タワーの天辺までジャンプ出来たら爽快にゃん」


 疾風は風で動きをフォローするスキルだ。

 風魔法ができればほとんど一緒だ。


 計算はちょっと俺も苦手だ。

 寄生スキルで計算スキルを意識すると、そろばんの知識が一緒に流れ込んだ。

 なんだ、そろばんて、簡単だ。

 一桁の計算さえできれば、あとは指の運動だ。

 慣れが必要ではあるが。


 体が覚えれば無意識に計算が出来る。

 頭で計算するんじゃなくて体で計算するのが近い。

 もっと早くそろばんに出会えていれば、俺の人生も変わったのかな。


 跳躍は身体強化の一種だ足回りにそれが集中してる。


「じゃあ、やるぞ。念話」


 スキルのコツを伝えた。


【ところでコボルトとケットシー排斥派はどうなったん】

【いるぞ。敷地内に入った奴は訴えられたが。細々と活動してる】

【詳しいな】

【近所だから】


【コボルトとケットシーがゴミ拾いしてるのを見た】

【あれな、ゴミを持ち主の所に返すという】

【捨てる奴が悪い】


 モチが嬉しそうに飛び跳ねている。

 弥衣やえは急加速しては急停止してる。

 良く酔わないな。

 キナコはぶつぶつ数字を言っているけど計算しているのだろう。


「コボルトとケットシー達には、浸透撃と魔力操作と自己回復を覚えてもらうとして。とりあえずはそれで良いか」


【コボルトとケットシーの無敵軍団ができ上がるな】

【おっさんの寄生も凄いことになるんじゃね】


 俺はアイアンオークと対峙して、振り下ろされたアイアンオークの棍棒を受け止めてねじり取った。

 そして、プロレスラーがやるみたいに相手の手と俺の手を組んだ。

 少し力を入れるとぼきぼきとアイアンオークの指が折れる。

 アイアンオークは流星打のパンチを繰り出すが、難なく受け止められた。

 俺はアイアンオークの頭を捻った。

 素手でアイアンオークとタイマン張れるな。

 いつの間にこんなに強くなったんだろう。


【おっさん強い】

【タイマンで負けてない】

【オークと素手でタイマン張れる人はいないと思う】

【おっさん最強だな】

【ダイヤモンドドラゴン一撃動画は今見ても痺れる】


「俺、変に強くなっているけど」

「当たり前よ。酸の水鉄砲という武器を持ったコボルトとケットシーが、どれだけレベルアップしたか」

「そうか、成長してたんだな。奴隷の鑑だ」


【奴隷という名の扶養家族な】

【ファミリーというに相応しい】


「ファミリーか。ギャングみたいでかっこいいな。ノワールフェイスファミリー」

「ノワールフェイスは忘れて!」

「俺は気に入っているけどな。そうやって顔を赤くして恥ずかしがる弥衣やえが可愛いから」

「そんな可愛いだなんて?」


【その名前久しぶりに聞いた】

【悪党の仮面を被った優しい人なんだよな】

【そうだな。社会に色々と貢献してるし】

【偽善だが、恰好良い】

【コボルトとケットシーが自己回復使えるなら、繁華街のパトロールなんてどうか。そして悪党をぶちのめす。俺のシマで暴れるなってな】


「危ないことはさせられないな。奴隷が死ぬとパワーダウンだから」


【優しいな】

【そうだよな。暴力はいけない】


「でもパトロールは悪くない。精神魔法を覚えさせれば誰でも穏やかな気持ちになる。くくくっ、精神を操る。実に悪党らしいだろ」


【内容は穏やかな気持ちにさせるだけだけどな】

【魔法の精神安定剤良い】

【優しい意見だ】


「精神魔法でストレスも吹っ飛ぶ。もうこれは麻薬魔法だな」


【究極のアニマルセラピーだな。姿と魔法で癒される】

【受けてみたい】


 よし、パワーアップも済んだ事だし、明日は森の奥へ踏み込むか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る