第51話 浸透撃

 アイアンモンキーから出た金属の粉はミスリルだった。

 木にもミスリルが含まれているらしい

 木の伐採するとアイアンモンキーが絶滅したりしてな。

 あいつらミスリルが含まれている葉っぱを食ったのだろう。

 ええと鉄の時に聞いた話では食うものがないなら、周りの物を食うのだったな。

 たぶんこの考えは合っているだろう。


 アイアンモンキーの数は減らしておこう。

 水で包めばいいだけだからな。


 アイアンモンキーを乱獲した。


【こいつらの金属の粉ってなんだった?】

【俺も知りたい】


「ミスリルだよ」


【うひょう、大金持ちだ】

【素敵】

【くそう、呪ってやる】

【久々にアンチを見た】

【可哀想にな】


「もちろん脅迫罪で訴える」


【告訴なんか怖くない】

【嫌だ、嫌だ。どうせニートなんだろう】

【ニートも告訴は堪えると思うな。裁判は神経をすり減らす。生い立ちまで暴露されたりするんだからな】

【ご愁傷様】


「言葉は選んだ方が良い。俺は悪人だから選ばないけどな。罵詈雑言掛かって来い。もれなく訴えてやる」


 酸の調達を見行った。

 浦和うらわ吹上ふきあげがどうしているか気になったからだ。


 二人は真面目に働いていた。

 体力が落ちて辛いとぼやいていたが。

 エリクサーが見つかるまでの罰だ。

 甘んじて舐めろ。

 あれっ、受けろだったかな。

 まあいいや。


「新しいスキルを得たにゃん。浸透撃にゃん」


 ケットシーからそう言われた。


「へぇ」


【浸透勁の一種かな】

【内部破壊は胸あつ】

【いい攻撃方法だ】


 恰好いいタイプの技らしい。


「寄生スキルで俺も使えるということだな」


 アシッドに向かって掌底を入れる。

 数パーセントじゃ破壊力は無いに等しい。

 連打した。

 千撃必殺の手ごたえあり。

 俺には要らない能力のようだ。


「へたくそにゃ、こうやるにゃ」


 ケットシーが掌底をアシッドに入れる。

 スライムの口と思われし場所から液体が漏れた。

 どうやら死んだらしい。

 強いな。


【ロマンスキルだな】

【一撃必殺、恰好良い】

【俺も覚えたい】


「私も覚えたい」


 弥衣やえが珍しいな。

 理由は何となく分かる。

 武器強化じゃ、一撃必殺とはいかないからな。

 覚えたいか。

 じゃあ、覚えればいいんじゃないか。


「どうやって覚えたか、聞きたい」

「ケットシー拳法に似たような技があるにゃん」

「ああ、浸透勁か」

「それにゃ。それをアシッドに叩き込みまくったら覚えたにゃ」


 寄生スキルでケットシー拳法を再現できないかな。

 よく考えたら、さっきの掌底は様になってた。

 膝ぐらいの位置にいるスライムにちゃんと攻撃になってた。


 既に俺はケットシー拳法を使えるらしい。

 それを弥衣やえに教えれば良いんだ。

 どうやって?

 口で説明するほど頭は良くない。

 それに体は動くけど、頭で理解しているわけじゃない。

 口に出さずに伝えられたらいいのに。


「念話だ! これしかない!」

「何か閃いたのね」

「今から念話でケットシー拳法を伝える」


【念話学習か。ありえるのか】

【いや出来るなら既にやっているだろ】


「ふっふっふ、念話スキル持ちは多い。300人はいる。900%の念話は誰も試してないだろ。弥衣やえ、苦しかったら言うんだぞ」

「うん」


「いくぞ、念話」

「ふわぁー、拳法のイメージが流れ込んでくる。ちょっと新鮮な経験かも。浸透勁どころか、浸透撃スキルが分かっちゃった」

「じゃあ実戦行くか。アイアンゴブリンだな。あいつらすぐに増えるから」


【念話最強説、生まれるか】

【画期的だな】

【何気に凄いな】

【おっさんは凄い。常識を塗り替える男だ】


 アイアンゴブリン地帯に到達。

 弥衣やえが拳法家らしい足運びで、アイアンゴブリンに接近。


「ふんっ」


 弥衣やえの掌底がアイアンゴブリンに炸裂。

 アイアンゴブリンは口から血を吹いて死んだ。

 ちょっと凄いな。


「モチもやりたいにゃん」

「キナコもです」


「よし念話してやろう」


【教えるならもっと良いスキルがあるんじゃないかな。魔法とか便利そう】

【自己再生も欲しいな】

【おお、パーティメンバーがインフレを起こす】

【ワンマンだったからね】


「魔法は追々だ。どうだキナコとモチ使えそうか」

「いけるわん」

「ばっちりにゃん」


 キナコとモチがアイアンゴブリンに肉薄する。

 そして掌底をかました。

 アイアンゴブリンはもれなく血を吐いた。


 魔法を一通りと、魔力操作と、自己回復を3人に念話して、とりあえずのパワーアップは終わった。

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