第43話 アイアンラビット
ウサギが目について仕方ない。
アイアンラビットと名付けた。
シロガネも食いたそうにしている。
「シロガネ、食っていいぞ」
シロガネがアイアンラビットに食らいつく。
【おお、野生だ】
【弱いな】
【ウサギ型でも、強いのはいるぞ。首狩りウサギとかだな】
【トラの餌として設置されているんじゃね】
俺もサンプルとして1匹狩ろう。
「シロガネ、アイアンラビットを押さえてくれ」
「わふっ」
シロガネがアイアンラビットを追い回し捕まえた。
器用に前足で押さえ込んでいる。
俺は鉄パイプで殴って止めを刺した。
さて、買取場に行こう。
「今回はアイアンラビットだ」
「ウサギ型は安いのが多い期待するなよ」
おっちゃんは手際よく解体。
魔石が小さいな。
肉片を焼いてから食った。
「あー、締めて10万円だな。ほとんどが魔石の値段だ」
「手出ししないと向かって来ないモンスターだから、無視すれば良いだけだ」
【でも普通のウサギだと1000円ぐらいだ】
【ウサギ一匹10万か。羨まし過ぎる】
【そう言えば底辺おっさん、悪党発言がないな。普通の人になったようだ。つまらん】
「くくっ、良いことを思いついた。ウサギ肉を施設に寄付する。そして俺らは和牛を食う。貧乏人はウサギでも食ってろ」
【聞き捨てならん。どういう施設か知らないが、施設の人を馬鹿にしてる】
【拡散しようぜ】
【そうだな。マリーアントワネットより酷い】
【おー、アンチが復活したな】
【落ちが見えたぞ】
俺はカメラを切った。
「このウサギ肉高級だぞ。和牛に引けを取らない」
「そうか。それならそれで良い」
『貧乏人はウサギでも食ってろ』タグがSNSで広まった。
良い感じに広まっているな。
さて、コボルトとケットシーのマンションにでも行くか。
マンションの周りの張り紙と立て札は相変わらずだ。
敷地内の物は全て撤去する。
マンションの遊具で遊んでいる子供はいない。
あんなことがあったなら、仕方ないが。
何かしたい。
そうだ、コボルトとケットシーの子供達を学校に通わせよう。
卒業資格とか得られなくても良い。
友達が一杯できるといいな。
そういう施設としてフリースクールというのがあるらしい。
ただ、教育委員会が運営しているんだよな。
コボルトとケットシーは入れないだろう。
無ければ作れば良い。
塾なら大した認可もいらないはずだ。
受験のための塾ではなくて遊ぶための塾。
もちろん希望する子には勉強も教える。
「コボルトとケットシーの学校をやりたい。もちろん人間の子供も入れる」
「それぐらいならどうってことも」
「大変だぞ。食事から、先生の確保まで、俺なら絶対に出来ない」
「食事は業者がいますし、先生も給料さえ良ければ来るはずです」
「じゃあ任せた」
アイアンタイガーで懐は暖かい。
しばらく、討伐は休んで、学校の設立の書類の手続きをしよう。
3日で場所が決まった。
元はダンスホールだった場所だ。
とにかく広い部屋だ。
机やパソコンなど機材をいれると学校らしくなる。
教室の半分は運動場にした。
フットサルができる設備になっている。
その様子を配信した。
【金があるので事業を起こしたか】
【フットサルとネットカフェか】
【経営は厳しいと思うな。でもおっさんなら】
「ここはコボルトとケットシーの子供を遊ばせるための施設だ。もちろん人間も通う。なんと無料で使える。ただし子供だけだがな」
【フットサルして人間の子供が怪我をしたらどうするんだ】
【責任とれるのか】
【ほんとアンチが復活してるな。どっか行ってほしいものだ】
「ナイスな指摘だ。治癒魔法が使える人を常駐させよう。バンバン指摘してくれたまえ」
治癒魔法持ちはコボルトとケットシーの中にいたな。
メジャーなスキルだものな。
介護の現場でも治癒魔法は重宝するが、一人ぐらい良いだろう。
試しに、コボルトとケットシーの子供にフットサルをさせる。
オーバーヘッドキックとか普通にやっている。
こりゃ人間の子供がすねるかもな。
【やっぱ異世界の住人だな。子供であのプレーはない】
【ワールドカップに招集されたりして】
【見ている分には面白い】
【サッカーのフェイントで残像が見えたのは初めてだ】
【モンスターのフットサルのどこが面白いのか】
【人間の子供が混ざって遊ぶのは危険すぎる】
【コボルトとケットシーは優しい生き物なんだぞ。怪我なんかさせるわけない】
【モンスターと言った奴ソースを出せ】
重りでも付けてハンデを与えるか。
それとオーバーヘッドみたいな危険なプレーは禁止だ。
体当たりも禁止しないといけないな。
色々とルールが必要だな。
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