第44話 アイアンラビットの群れ
さて、施設にウサギ肉を寄付しなきゃならない。
狩るぞ、狩るぞ。
3階層に足を踏み入れた途端、殺気のこもった目の大群。
なんでアイアンラビットがこんなに増えているんだ。
アンアンタイガーを乱獲したからか。
【こいつらもしかして。1日ウサギか】
【何それ】
【1日で大人になるんだよ。しかも繁殖力が凄い】
【どう決着をつけるのか落ちにちょっと期待】
だが所詮ウサギ。
俺達の敵じゃない。
ブーブーとアイアンラビットが鼻を鳴らす。
いっちょ前にブーイングしやがって。
「シロガネ、腹いっぱい食っていいぞ」
「わふん」
シロガネがアイアンラビットに襲い掛かると、アイアンラビットは蜜に集る蟻のように群がった。
「キャイン」
これはいかん。
シロガネに集っているアイアンラビットを払い落す。
払い落しても払い落としても無限に群がってくる。
俺もアイアンラビットに集られた。
視界は灰色一色。
噛まれる所が地味に痛い。
自己回復があるから、支障はないがこれはなすすべがない。
「撤退!!」
這う這うの体で3階層の階段を駆けあがる。
シロガネは皮膚が頑丈なのか、かすり傷程度だ。
大ダメージ認定されて、加護が働いたんだな。
時間差でキナコとモチも治った。
念の為アイアンスパイダーから作った造血剤を飲む。
【落ちは見えてた】
【平凡なシナリオだな】
【貧乏人はウサギ食ってろだったっけ。お前が食われてんじゃん】
【ぎゃははは。底辺おっさん、ざまぁ】
【やられてから反撃するのが良いんだよ。一本道ほどつまらないものはない】
「良く俺のシナリオを見抜いたな。これから大反撃が始まるのだよ。やられたのは大したことない。その証拠に傷一つない」
【さすがおっさん、傷消すのもお手の物】
【どうやって反撃するのか大体分かる】
【底辺おっさんの頭じゃ大したことは考えつかないだろう】
「策は秘密だ」
さて困ったぞ。
数に対抗するのは簡単ではない。
コボルトとケットシーを総動員しようか。
いや、それじゃなんか負けを認めた気分だ。
ミスリルの防護服あったな。
あれを使ってみるか。
あれならウサギの歯でも齧られないはずだ。
防護服を着てリベンジに行った。
【全身鎧みたいなものか】
【さてどうなるか】
【落ちが見えたな】
【言うなよ楽しみが減る】
シロガネを安全圏に待機させて、アイアンラビットに攻撃を加えた。
集って来るアイアンラビット。
痛くないな。
あれっ、暑いぞ。
物凄く暑い。
暑すぎて駄目だ。
俺は無我夢中で逃げた。
圧死しないのは加護のおかげだな。
3人を救出して、退却した。
【圧死か、まあそんな落ちだよな】
「問題はそれじゃない。暑いんだよ」
【まるでスズメバチに集るミツバチだな】
【あり得る戦術だ】
くそっ、数が多いのがこんなに厄介だとは。
振り払っても集って来るんだよな。
夢に出てうなされそうだ。
出来るだけ自分で攻略法を考えよう。
【アニメの薙ぎ倒せというシーンが浮かんだ】
【ああ、あれね。早すぎたと言ってドミノが崩壊するんだっけ】
「ヒントありがとよ」
【薙ぎ倒せ戦法で行くらしい】
【失敗する絵が浮かんだ】
【策は秘密じゃなかったのか】
【底辺おっさんだからな。策なんかなかったと思われ】
【力技はチートの醍醐味】
火球魔法をフルパワーで撃てば全滅するだろう。
そう言えばシロガネはブレスを吐いてなかったな。
「シロガネ、あいつら、もしかして炎が効かないのか」
「わん」
頷くシロガネ。
マジか。
もしかして魔法に耐性あるのか。
アイアンタイガーの砲弾も物理だものな。
アイアンタイガーなら、遠距離から安全に狩れるのか。
全ての物には意味がある。
そうか。
そういうことか。
物理で広範囲魔法か。
何があるだろう。
いや、ここは最悪を考えるべきか。
魔法無効化能力と。
そうなると、マシンガンを持った集団とか、手榴弾が必要だ。
とにかく鑑定してみないとな。
「鑑定」
階段の所で鑑定スキルを使う。
おお、全魔法無効と出た。
【何やら上手くいかないご様子】
【鑑定で何が分かったのか】
「全魔法無効だったんだよ」
【これをどうするのか見物】
【おっさんなら、なんとかする】
【シナリオは出来ているんだろう】
さて、困ったぞ。
どうする俺。
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