第19話 アイアンウルフ
パニックになっていても仕方ない。
スキルの検証を始めないと。
まずはおなじみの魔力操作だ。
千人のうち、300人程が持っていたらしい。
その威力900%。
瞬く間に魔力が流れ込み必殺技が放てる。
アイアンオークに試してみたところ、武器強化と魔力操作の合わせ技で一撃だった。
魔法スキルは難しい。
魔力操作との合わせ技の力任せは出来るが、アイアンリッチがやっていた弾丸は無理だ。
原理が分からん。
土魔法で弾丸を出して風魔法で撃ち出せばいいのかな。
とにかくできない。
もう力技でも良いか。
俺達は2階層に踏み入れた。
キナコの話では、2階層の最初のザコはアイアンオークらしい。
楽勝だな。
「ふははっ、2階層に足を踏み入れたぜ」
【今度こそ爆死してくれ】
【見たところオークじゃないか】
【オークでは見込みが薄いな】
【とっとと次に行け】
「待て、乱獲してからだ」
俺達は
【ヤエちゃん、レベル上げご苦労様です。レベルを上げてこのクズ男にざまぁしてやって下さい】
【無理だろ。止めを刺したほうが経験値は稼げる。だが、おっさん氏ね】
【今日も乱獲素敵です。頑張って下さい。愛してます】
【出たなおばさん】
【俺、冒険者だけど、アイアンオークの革を使ったプロテクターを装備している。この性能は凄いぜ】
【ステマは要らない。おっさん自演乙】
【はよ次行けや。おっさんが爆死する所が見たいんだ】
「よし、奥へ行くぞ」
いたのはアイアンウルフだ。
大型犬より大きい巨体。
トラほどの大きさがある。
【今度こそ、おっさん死んだな】
【美味い酒が飲めそうだ】
まずは一当てだな。
呪いを込めた鉄パイプの連撃を全てかわされた。
くっ、速いぞこいつ。
プチウルフが追い詰めらた時ぐらい速い。
アイアンウルフが大口を開いた。
大技がくる。
だが、その溜めは隙だ。
俺は鉄パイプでアイアンウルフの上顎を殴って口を閉じさせた。
アイアンウルフが呪いで弱体化する。
アイアンウルフの口から青白い炎が漏れて、それに鉄パイプが触れた途端、鉄パイプは溶けた。
「あちっちっ、熱いじゃないか」
慌てて鉄パイプを離すも手の肉は焼けただれていた。
余波でこれだけだとすると直接は食らいたくないな。
俺は替えの鉄パイプを取り出すと、アイアンウルフの頭を滅多打ちにした。
どうやら殺せたようだ。
大技を撃たせるのは得策ではないな。
だが、普通にこっちが必殺技を出しても、避けられたら厄介だ。
さっきみたいに余波の炎も食らいたくない。
【強敵かな。大きさはウルフ系では普通かな。Cランク相当だと思われる】
【炎のブレスは強い】
【鉄パイプが溶けるってどんだけ】
【鉄じゃなくてハンダで出来ているんじゃね】
【あり得る。重さが違うからな】
【鉛だとすると、力持ちじゃないかしら。素敵ね】
【パイプだからハンダでも振れるな】
【何で曲がらないんだ】
【おう、魔力が通ると硬くなるんだよ】
【おっさん、魔力凄いのか】
【そこは寄生スキルの出番だろ】
「今日の討伐はここまでだ」
俺はカメラのスイッチを切った。
「手を見せて」
手の火傷は自己治癒能力で瞬く間に治った。
「言わんとすることは分かる。アイアンオークを狩って暮らせば良いってことはな」
「じゃあ、何で?」
「最近まで俺は世の中の物は全て意味がないって思ってた。今は違うと思っている。全ての物には意味があるってな。相棒のカメラに出会ったのも、ダンジョンが庭に出来たのも、
「ダンジョンを制覇しろってこと?」
「ああ、そんな気がしてならない。馬鹿な俺だが、俺の勘がそう言っている。すまんな
「ダンジョンには伝承があるわん。邪神と善神の遊戯だと伝えられているわん」
「そうにゃん。ダンジョンを制覇すれば善神の勝ち、制覇できなければ邪神の勝ちにゃん」
「邪神が支配する世界なんてきっとろくでもないんだろうな」
「そうね」
「納得してくれたか?」
「私はずっとついて行くから。それなら許可してあげる」
「ああ、
絆がより一層、強まった気がする。
寄生している関係だけど、俺のパーティメンバーは絶対に守る。
そう決意を新たにした。
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