第20話 アイアンウルフ対策
「大量のアイアンオークと新しいのを持ってきたぜ」
俺は冒険者協会の買取場で職員に声を掛けた。
「アイアンオークはいくらあっても構わないぜ。皮も睾丸も引く手あまただ」
俺は大量のアイアンオークを出して最後にアイアンウルフを出した。
「どうだ立派だろ」
「トラ以上の大きさがある。とすると継ぎ目のない胸当てが作れるな。200万ってところか」
「意外に安いな」
「アイアンオークが特別高いだけだ」
でもアイアンウルフにチャレンジしないということはないんだけどな。
今日の討伐は終りだから、アイアンウルフ対策を考える。
「火に対するなら水かな」
「水は危険よ。水蒸気爆発を起こしたり水蒸気で火傷するから」
「じゃあ氷は?」
「少しましだけど、氷も水と一緒よ」
「風は駄目そうだから、土かな」
「セラミックなら高温に耐えられるわ」
「ええと、セラミックというと何だっけ。ミミックの親戚?」
「陶器だと思えば良いわ。耐熱セラミックだとアルミナから作るのが一般的みたいね」
勉強は嫌だ。
だがそんなことを言ってはいられない。
世界の命運が掛かっているのだ。
俺は眠気と戦って、
今までで一番強敵だった。
「陶磁器」
魔法を発動させる。
耐熱セラミックの塊が生まれた。
これでアイアンウルフの口を塞げば良いのか。
「まだよ。放熱魔法を教えてあげるわ」
「お手柔らかにお願いします」
「分子は運動しているの「ぐう」寝ちゃった」
寝ちゃったという
はっと目を覚ますと、机に突っ伏しているじゃないか。
恐るべし科学知識。
俺は釘を持って来て太腿に刺した。
これなら戦える。
「さあ、授業の続きを」
「熱を持つと分子の運動は激しくなるの」
何で。
ああ、男が良い女を見ると赤くなってハッスルするみたいかにか。
「逆に冷たいということは分子の運動が少ないの」
「なるほど分かった。加熱」
コップの水を沸騰させた。
「冷却」
コップの水が凍り付いた。
便利な魔法だ。
これでキンキンに冷えたビールが飲めるぜ。
「それと私からは
「
さあて、コボルトとケットシーの様子でも見に行くか。
カメラのスイッチを入れて外出する。
【おっ、協会に行くのか】
【お金持ちは好き】
【お金は好きだが、おっさんは嫌いだ】
「今日は奴隷共の様子を見に行く」
ほどなくして買い上げたマンションに着いた。
ノックもせず部屋にずかずかと入る。
もちろん電話でそうすることを報せておいた。
「マスター。極上のご飯をありがとうございますわん」
「おう」
彼らの手にはカップ麺。
【これが極上のご飯だって。動物愛護はどこに訴えたら良いんだ】
【警察じゃね】
【カップ麺は極上の味だよな。分かるよ】
「今まで何を食ってきたんだ」
「アイアンリッチが召喚した食べ物ですわん。アイアンリッチは精気以外食べないので味音痴なんですわん。カップ麺みたいな食事は極上のご馳走ですわん」
「感謝するが良い。だが野菜も食えよ」
「野菜は勘弁ですわん」
「駄目だ。無理やりにでも食わせる。俺は悪党だからな。嫌がることは率先してやるほうだ」
「マスターの極悪人」
「語尾のわんを忘れているぞ。でもなんで語尾にわんを付けたりしてるんだ?」
「アニメでやってたわん」
「ああ、アイアンリッチが魔法で見せていたんだったな」
「停止魔法を掛けられた時に唯一の楽しみだったですわん」
「それで日本語を覚えたのか?」
「はいですわん」
「野菜は絶対に食えよ」
「誤魔化されないとは手強いですわん」
俺は馬鹿だが、さっきの会話を忘れるほどじゃない。
「ちゃんと食っているかチェックするからな。ケットシーは口が軽そうだから、焼いた魚でも目の前に出せば、ペラペラ喋るだろう」
「魚くれるのかにゃん」
「次にきた時にな」
コボルト達の極悪人という声が心地いい。
俺はどうやらサドの気もあるらしい。
悪役ムーブが気持ちいいのは、それがあるからなのかも。
ところでこいつら塩分を摂って平気なのか。
まあ、妖精だから犬猫とは違うのだろう。
あとで動物病院に連れて行かないとな。
嫌がりそうで、その時が楽しみだ。
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