第11話 トカゲ必勝法

 さて、トカゲ必勝法だ。

 弥衣やえに考えがあるらしい。


弥衣やえ先生お願いします」

「はい、まずは武器の特性からです。武器として飛び道具はお話になりません」

「なぜですか」

「魔力がこもってないからです。手から武器が離れると魔力は急速に失われます。そうなるとダメージが激減してしまうのです」

「なるほど」


「そこでわたくしの武器強化スキルです。これを掛けることで魔力が長時間留まります」

「飛び道具を使うのですか」

「銃の所持は許可が下りないでしょう。それにわたくしのスキルではまだ威力が足りません。銃弾は弾かれると思います。なにしろ敵は鉄並みの硬さですから」

「ではどうすれば」

「金属のワイヤーです。これでトカゲの口を縛ってしまえばいいです。もちろんワイヤーには武器強化します」

「おお、賢い」

「開く力は閉じる力より弱いそうです。レッツチャレンジ」


 俺はカメラのスイッチを入れて、ダンジョンに入った。


「俺のざまぁ伝説は今始まる」


【何となく応援したくなった】

【でた不良とかヤクザが好きな奴】

【一億円貰えるならヤクザでもいいな】

【守銭奴はこれだから】

【私も良いと思う】

【ところであの一億円はどうやって手に入れたんだ?】

【おお、そう言えばそうだ】


「あの一億円はギャンブルで当たったんだよ」


 嘘をついた。

 レベル上げに付き合ってやったお礼だとか言うと、追放ざまぁ感が薄れるからな。


【宝くじか】

【くそう上手くやりやがって】

【このおっさん運が並外れていいんじゃね】

【豪運の人は好き】

【ちゅ♡】

【おーおー、変なファンがついてるな。きっとブスのおばさんなんだろう】

【ブスのおばさんは引っ込め】

【童貞のもてない君こそ消えろ】

【貧乏人もね】

【くっ、俺はもうだめぽ】

【負けるなよ。立ち上がれ】


 なんか俺のファンとアンチが混在しているな。

 ファンがいることが驚きだが。


 まず手始めにプチウルフを探す。

 いたいた、ヘッドロックをかましてワイヤーで口を縛る。

 そして滅多打ちにした。


 いい具合だな。

 アイテム鞄にプチウルフの死骸を入れる。

 ドラスレパーティが討伐のあとに持ち帰っていたからだ。

 いままでは放置した。

 だって肌触りが物凄く悪い毛皮なんだよ。

 まるで針金で出来ているようだから。


 こんなのでも売り物になるのかな。

 まあいいや、持ち帰って協会に売ってみよう。

 試験としてプチウルフを30頭狩った。


【安定の犬虐め】

【動物愛護法で訴えてやる】

【可哀想】


「嫌だったらここに来て俺を止めてみせろ」


【あの犬の死骸はいくらになるのかしら】

【ドラスレチャンネルによると皮だけで10万円らしい。武具の材料にするんだとさ。魔石は100万だってさ】


 ほわっと、今まで俺は110万円を捨ててたのか。

 頭悪いと損する。

 それは分かっていたことだ。

 まあいいさ。

 プチウルフならいくらでもいる。

 これから稼げば良い。


 ええと、今日は30頭狩ったから30×1100000で330万円。

 あれっ、地面に計算式を書いた。


「3300万」


 弥衣やえが答えを教えてくれた。

 えっ、3300万円。

 ちぇっと奥さん聞きました?

 3300万円ですって。


「ふっ、3300万か。はした金だ」


【俺も言ってみたい】

【素敵】

【永久就職したい】

【トップ冒険者は年間10億ぐらいはざらだけどな】


「よし、トカゲをやるぞ」


 トカゲを見つけてヘッドロックして、ワイヤーでグルグル巻きにした。

 そして連打。

 ふぅすっきり。

 ワイヤーを使うとこんなに楽だったなんてな。


 トカゲは高いのかな。

 冒険者協会に行くか。

 死骸をアイテム鞄に突っ込む。

 ぬるっと死骸が吸い込まれた。


 自転車ではなく弥衣やえの運転する自動車で協会に行く。

 金ならあるから買ったのだ。

 ちなみに俺は馬鹿なので運転免許は取れない。

 あんな眠くなる問題を覚えられる方がどうかしている。

 ひっかけ問題が多数あるんだぜ。

 その汚さに俺は絶句して嫌になった。


 とにかく、協会の裏手の買取スペースにいった。


「獲物を持ってきた査定してくれ」


 俺はプチウルフとトカゲを出した。


「こいつはドラスレパーティが発見登録したアイアンプチウルフじゃないか。1頭110万だ。それとこいつはアイアンドラゴンか。硬ぇ。鋼鉄のナイフでも傷がつかないぞ。おいダイヤモンドカッターを持ってこい」


 アイアンドラゴンの解体が始まった。

 ダイヤモンドカッターの刃を当てると火花が盛大に出る。


【トカゲの査定額はいくらになるかな】

【くそっ、おっさん金寄越せ】

【強盗がいてワラタ】

【ほんと素敵よね】

【もっと好きになっちゃうかも】

【好感度が上がる予感】

【氏ね】


「ふぃー、こいつは良い武具の材料になるぜ。生体素材だと魔力の通りが良いんでな。そうだな、暫定だが、1頭200万ぐらいだろう」


【おっさんがどんどん金持ちになっていく】

【俺もおっさんのダンジョン行こうかな】

【やめとけ死ぬぞ】

【そうそう、ドラスレがスライムで死にかけたんだから】


「来るなら来い。俺のダンジョンで無様に敗北して、俺の引き立て役になるんだ」


【くっ、悔しいがどうにもならない】


 よし、帰って、トカゲ乱獲だな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る