第6話:王と姫騎士、闘いの幕開け。
「それは許さん、決闘を絶対に許さん!
王太子には詫びさせると申しておる。
ログレス公爵家とレティシアが納得する詫びをさせる、条件を申してみよ」
「ヴェロニカ王女殿下はどうなるのですか?
ヴェロニカ王女殿下など、どうでもよいとお考えなのですか?」
「ヴェロニカは我が娘だ、トライガの姉だ、親姉弟の事に口出し無用!」
親馬鹿で、今まで王太子に好き勝手させていましたが、ヴェロニカ王女の件を上手く言い逃れたところ見ると、国王も完全な馬鹿ではないようですね。
ですが私とログレス公爵家の事は言い逃れさせませんよ。
ここに父上がいたら、名誉を金や領地に代えてしまったかもしれませんが、王太子が私とログレス公爵家を貶めるために開いた舞踏会です、父上は招かれていません。
「賢明な国王陛下ならば既に御分りの上で仰っているのでしょうが、名誉を傷つけられ方が、その回復の条件を口にするなど、卑しくはしたない事です。
常日頃より私の事を、踊り子の血が流れた卑しくはしたない貴族にあるまじき娘と罵り続けた王太子殿下です。
そのような卑しくはしたない事を強調して、更に私とログレス公爵家の名誉を傷つけるような、恥知らずな真似はなされますまい。
まして一国の国王陛下が、名誉を金銭や領土で買おうなどという、恥知らず極まりない事を口になされるはずがありませんよね」
「うぬぬぬぬぬ、レティシア、余に喧嘩を売っているのか!」
「恐れながら申し上げます。
御覧の通り、思慮の足りない王太子殿下に喧嘩を売られたのは私でございます。
ですから買わせていただきました。
国王陛下も喧嘩を売ってくださるのでしたら、よろこんで買わせていただきます。
いかがなされますか?」
流石に剣を向けたら不敬罪で騎士達が集まって来るでしょう。
でも、王が喧嘩を売ってきたのだから、買わせていただくのが臣下の道でしょう。
いや、違うのかな?
どうも、長年の我慢で精神がおかしくなっているのかもしれませんね。
この場で大笑いしたくなりました。
国王が真っ青になっています。
この場で私に殺されると思っているのでしょうか?
流石に私でも、先に剣を抜いて国王を殺したりはしません。
国王が先に剣を抜いて、私に斬りかかるまでは待ちます。
早く剣を抜いてくれないかな?
それとも、ここにいる貴族や護衛の騎士に、私を斬るように命じますかね?
まあ、そんな所でしょうね。
いかに怒り狂っていても、自分が剣で私に勝てない事は、国王も十分理解しているはずです。
そうなると乱戦になりますね。
中にはそれなりに腕の立つ騎士もいます。
私も何時かは疲れて戦えなくなってしまいます。
最初に王太子を殺しておかないと、後悔する事なってしまいます。
確実に殺しておきましょう。
お、国王が真っ赤になりましたね、私を殺す決断ができたのでしょうか?
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