第21話 地下31階の脅威
神獣の加護をもらった翌日、レイ達は地下31階へと足を進めていた。キュービの里からは直接地下31階へといける隠し階段があるので、地下30階のボス部屋に戻る事なく先に進む事ができる。
キュビと出会った時は、先に進まずに帰還したので、先に進むのは初めてだ。なぜなら、このダンジョンは地下31階から難易度が急激に上がるのだ。
地下30階に出てくるボスはレベル30のスリーフォックス、そして地下31階に出てくる魔物のレベルは62だ。魔物のレベルが一気に30以上も上がるのだ。どれだけ脅威がわかるだろう。
レイのレベルは35だ。フェニクと契約しているので、能力は1.5倍。それに今回神獣である青龍の加護があるので、合計で能力は1.6倍になっているが、それでもレベル56相当の力しかない。魔物の方がはるかに格上なのだ。
マリーはレベル81と魔物よりもレベルが高いがメインは回復で、攻撃手段は簡単な攻撃魔法しか使えない。
なので、攻略するのではなく、食料がなくなるまで、地下31階を中心にレベル上げをする事にしたのだ。
「本当に大丈夫なの?上の階でレベル上げした方が安全じゃないの?」
「マリーの言うこともわかるけど、格上の魔物を倒した方がレベル上げの効率はいい。ありがたい事にミストのおかげで魔物の場所はわかるんだ。安全に逃げ道を確保しながら戦っていけば問題ないと思うよ。俺のレベルは35しかないけど、聖獣の力と神獣様の加護があるからやれると思うしね。」
やっぱり経験値を稼ぐなら格上との戦闘だよな~。この世界に大量の経験値をくれる防御力がめっちゃ高くてすばしっこいスライムがいるなら話は別だけど、そんな魔物は存在しなかったはずだ。ならここで頑張るしかない。攻撃を受けたりして痛い思いをするだろうけど、早く強くなれるなら我慢するしかないよな。
レイは気合を入れて、先に進んだ。
「近くに1体魔物がいるぞ。」
「マリー。丁度近くに1体で行動してる魔物がいるみたいだ。見つけたら遠距離から攻撃魔法を使う。多分それだけで倒せるレベルじゃないと思うから俺は魔物に向かって近距離で戦う。マリーは様子を見ながら攻撃魔法か回復魔法で俺を援護してくれるか?」
「もう!!わかったわ。私がレイをしっかりサポートするから」
さてさて出てくる魔物は・・・スケルトンか。剣も持ってるしちょっと怖いな。だけど魔法だけで倒そうとすると俺以外にマリーも危険にさらす事になる。俺が前に出ればスケルトンの攻撃は全て俺が受けることになるからマリーは安全だ。マリーが定期的に回復してくれれば死ぬ事はないだろう。後は俺の覚悟だけだな。そういや、後は勇気だけだ!っていう人気のアニメがあったな。たしかマッハ3で動くサイボーグの漫画だったけど、やっぱり主人公も怖いんだろうな。
俺は、スケルトンを見つけると、火魔法のファイヤーアローを放った。マリーも横でウォーターアローを使いスケルトンに攻撃を仕掛けた。魔法が当たったスケルトンは俺達に気づき武器を構えて近づいてきた。マリーに接近させないように俺は勇気を振り絞って前に出た。
盾を持っていないので、持っている剣で攻撃を受けたり、手に巻いている小手で攻撃を防ぐ。防ぐ度に身体に痛みがはしるがやり返せない程ではない。ゲームとは違いターン制ではないので、スケルトンの剣を防ぎながら上から横から下から剣で切りつける。ここに来るまでに雑魚モンスター相手に何度も剣を振るってきたので、剣の扱いはかなり良くなっていた。
それでもレベル差があるのか何度切り付けてもスケルトンは一向に倒れない。その時、背中に温かい何かを感じた。マリーの回復魔法だ。スケルトンは回復手段がないが、俺にはこれがある。俺は必死に剣でスケルトンを切りつけた。ぜいぜいと肩で息する程連続で攻撃を仕掛けるとスケルトンはその場で倒れて消えていった。
「レイ!大丈夫?」
「ああ。なんとか倒せたよ。それでもやっぱりレベル62はきついな。今まで苦戦なんかしてこなかっていきなり強敵だったから必死だったよ。」
「たしかに今までは魔法だけで倒せていたものね。私が魔法で援護できればよかったんだけど、レイに当たりそうだったから全く使えなかったわ。」
俺は、マリーのその言葉で連携が全くできていなかった事に気づいた。たしかにマリーのいう通りだ。ここはゲームじゃないんだ。俺がスケルトンの前にいたらマリーが魔法を使えないのは当然だ。俺をすり抜けてスケルトンに魔法が当たる訳じゃないんだから。
「ごめんマリー。たしかに・・・俺がスケルトンのヘイトを稼いで移動しながら攻撃しないといけなかったな。そしたらマリーからの魔法の援護もあったし、もっと楽に倒せてたかもしれないな。」
「その辺は、初めての事だからこれからやっていけばいいわね。こういう経験も後々役に立つだろうし。」
「そうだな。あれ?マリーは今ので、やっぱりもっと上の階に行こうとは言わないんだね。」
「レイが言うように格上の方がレベルが上がりやすいのはわかるしね。時間もないもの。多少のリスクは負わないといけないのは私にもわかるわ。それに私が回復魔法を使えば死なずに魔物を倒せる事もわかったしね。」
「OK。ならしばらくはこの階で魔物を倒そう。連携に関してはその都度、その都度見直して高めていこう。魔法は出し惜しみなしだ。少なくなったらMP回復ポーションを積極的に使っていこう。もしかしたらMP回復ポーションの方が先になくなるかもしれないけど、死んだら元も子もないしね。」
「わかったわ。」
そうして、俺達は地下31階を中心にレベル上げをするのだった。
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