第7話 不死鳥フェニックス

「久々に見たなフェニクのその姿。」


「俺様にかかればワイバーンなんかカスみたいなもんだぜ。って言っても久々の解放で張り切りすぎたみたいだ。しばらくは解放は使えないな。」


「十分だよ。ありがとうフェニク。」


今の可愛らしい姿からは想像できないけど、さすが聖獣だな。まさにチートキャラだ。だけどようやく封印を解除できた。それに、


「レイ!!」


「久しぶりマリー。色々話しがあると思うけどひとまず大聖堂に戻ろう。他にも避難してる人がいるんだろ?」


「え、ええそうね。わかったわ。」


ワイバーンを倒したレイ達は、洞窟の中で避難していた人達と共に大聖堂へと帰って行った。


「レイ?今日は大聖堂に泊まっていって。色々話もあるから。」


と言ってローズマリーは紅葉山からここまでずっとレイの腕に抱きついていた。今も抱きついたまま、フロンダールの街を歩いている。


有名な聖女を見ようと街には人が溢れており、皆が聖女を見れた事に喜びの表情をし、その横にいる白髪の男の噂をしていた。


「聖女様、いつ見ても綺麗だわ。だけど、横いる方は誰かしら?腕まで組んで仲良さそうよ。」


「誰だ!聖女様と腕組んでるのは?あんなヤツ死ねばいいのに」


あれ?マリーってこんなキャラだっけ?腕なんて組んで歩いた事なんて一度もないはずだけど・・・それに、めっちゃ周りから睨まれてるよ・・・


「な、なあマリー?腕なんて組んで大丈夫なのか?変な噂されたら・・・」


「何言ってるのよ。私とレイはこう言う仲でしょ。それとも私と腕を組むのがいやなの?」


「いや、そう言う訳じゃ。」


「なら、いいでしょ。」


「はい。」


「レイよ。早速尻に引かれておるな。マリーとか言ったか?グイグイくるじゃないか。」


「ミスト・・・俺にもわからないんだ。前はあんな感じじゃなかったはずなんだけど。」


「死んだと思っていたのが生きていて、無事に再会できたんじゃ。積極的にもなるだろう。」


「そうだぜレイ。お嬢はレイが死んだと思って、そりゃ激しく泣いてたんだぜ。」


「そっか・・・って、えっ?フェニク?俺とミストの会話聞こえるのか?」


「当たり前だぜ。俺様とレイは契約してるんだぜ。レイの記憶を共有してるから、話もわかるし、ミストが魔王って事もわかるぜ。なんといっても俺様だからな。」


「はは。フェニクは変わらないな。」


聖獣フェニクは不死鳥フェニックスだ。フェニクとは、ゲームの最初で出会う。森で魔物に襲われるレイをフェニクが助けるのだ。


その後、自分が聖獣マスターである事をフェニクに教えてもらい、フェニクと共に冒険がスタートする。


フェニクの能力は再生の炎だ。フェニクと契約した事で、レイは一度死んでも生き返る事ができる。ボルテックス達はレイの事を知っていたので、先に聖獣を封印して、殺そうとしたのだ。


そういや、フェニクとは付き合いが一番長いんだな。フェニク、マリーとの出会いもゲーム通りだし、強くてニューゲームじゃなかったけど、転生特典でミストが仲間になったって感じか。


それにしても周りの目が・・・怖い。一人で出歩いたら刺されるかも・・・


そんな事をを思いながら、レイはマリーと共に大聖堂へと入って行った。


お互い疲れもあったので、その日は再会を喜び合うだけで早々に休んだ。もちろん部屋は別々だ。マリーが一緒に寝る!と部屋に入ってきたが、大聖堂ではまずい。と何度も訴えた。涙目に部屋から出るマリーに、申し訳なく思うレイだった。


そして翌日・・・


俺はマリーに魔王城での事、ミストの事、生き返ってからの事を話した。


フェニクはマリーの膝の上で、頭を撫でられていた。普段のフェニクは小動物ぐらいの大きさで、見た目もぬいぐるみみたいな感じだ。俺と契約してるはずだが、聖獣達は全員マリーと仲が良い。なぜだ・・・


「そう・・・大変だったのね。髪の色も変わってるし。」


「まあフェニクとマリーにすぐに再会できたからよかったよ。それより他の聖獣とミュラ王女は大丈夫なのか?俺が死んだと思ってるなら魔王を倒したボルテックスがアプローチとかかけてるんじゃ?巷じゃ世界を平和に導いた勇者になってるんだろ?」


「それは大丈夫よ。ボルテックスが帰ってきてからすぐにフェニクに状況をきいたからミュラにも伝えてるわ。」


「話せないと思って、俺様をお嬢に渡したのがあの野郎の運の尽きだったな。」


ひとまずは安心だな。勇者と王女の結婚ってよくあるもんな。お互い愛し合ってるならともかく、騙されて結婚なんてかわいそうだもんな。


だけどまあ、早めにミュラ王女には無事を伝えないと、この世界って携帯電話みたいなのがないからな〜。伝えるには直接行かないと行けないんだよな〜。どうしたもんか・・・。


「なら次の目的地は、西大陸のファンドラだな。今から向かえば7日ぐらいで着くだろ?」


「そうね。レイの事は私とミュラしか知らないもの。多分ボルテックスは毎日ミュラを口説いてるはずよ。アイツ、ミュラと仲良くしてるレイをずっと睨んでいたもの。」


「ローズマリーといい、ミュラ王女といい、レイはモテるんじゃない。」


「そうだぜ。レイはモテるぞ。でもレイ。ファンドラはまずいんじゃないか?今行っても偽物扱いされてあの野郎にやられるぞ。」


そうなんだよな〜。ミュラ王女の所には早く行きたいけど、いざ戦いになると今の俺じゃボルテックス達には勝てないんだよな〜。フェニクが戻ってきたからステータスは1.5倍になってるけどまだまだ弱いんだよな〜。


こっそり行ってミュラ王女にだけ顔を見せるのがベストか・・・。連れ出したいけど、ミュラ王女は城からは出れないだろうからマリーをミュラの側に置くか?いやボルテックス達の側に二人を置くのは危険か。う〜んどうすれば・・・。


「レイよ。そんなに時間をかけなくても、転移魔法を使って移動すれば良いではないか?」


「転移魔法!?」


ミストから言われた内容は、レイの予想を超える提案だった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る