第6話 激突!!ワイバーン戦

「ミスト!どうだ?」


「うむ。今のところ大丈夫みたいじゃ。攻撃をしてるような感じはないのぉ。」


マリーは、うまくどこかに隠れたか?だけどまだ脅威が去った訳じゃない。


「ワイバーンは何体いる?」


「5体じゃな。山にはオークにゴブリン共もおるぞ。」


さてどうするか・・・今の俺ならゴブリンはもちろんの事、オーク相手でも十分戦える。だけどワイバーンの事を考えると力は温存しておいた方がいいだろう。


ミストに頼ってワイバーンに近づいたとしてどうやって倒す?上位の魔法を使えば倒す事はできるだろう。だけど5体か・・・どうしても手が足りないな。


「ミスト。5体のワイバーンは固まってるのか?さすがに5体全員を相手するのは厳しい。どうにかならないか?」


どうする?俺がワイバーンの注意を引きつければマリー達は助かる。だが俺は・・・



「ローズマリー様、すいません。俺のせいで。」


「気にしないで下さい。死なずに生きている。それだけでもありがたいと思いましょう。」


と言っても安心はできないわ。まさか5体もワイバーンがいるなんて。この洞窟に入ればやられる事はないだろうけど、いつかは限界が来るわ。どうすれば・・・こんな時、レイがいてくれれば・・・


「ローズマリー様!?ポケットが。」


「えっ?」


ポケットを見てみると、赤い光が漏れていた。


「これは・・・」


フェニクの珠が光ってる。どう言う事?もしかして近くにレイが?


「皆さんはここで待っていて下さい。私はちょっとここを出てワイバーンの様子を見てきます。」


「危険です。ローズマリー様!!」


「安心して下さい。私は聖女です。ワイバーン5体を倒す力はありませんが自分の身を守る事はできます。」


「ですが・・・」


「このまま、ここで待っていても食料もない状況なら、いずれ私達は死んでしまうでしょう。私の感ですが、私達を助ける為にこちらに向かっている者がいます。うまく合流できればこの危機を脱出できるはずです。」


私はレイと再び会うまでは死ねない。レイ・・・近くにいるんでしょ。私達を助けて。


「何が起きてるの!?これは・・・」


ローズマリーが洞窟の外へ出ると、辺りが暗くなっていた。



「ミスト・・・もしかしてワイバーンがいる方向はあっちか?」


「うん?そうじゃ5体固まっておるぞ。」


やはり・・・という事はマリー達は洞窟にでも身を潜めたんだな。そして・・・


「ミスト。ワイバーンの群れに突っ込むぞ。」


「!?どういう事じゃ。いくらお主でも今の力では勝てぬぞ。」


「フェニクの気配がする。フェニクはきっとワイバーン達の所にいる。フェニクが俺に気付いてくれるはずだ。うまくいけばワイバーン5体なんて目じゃないさ。」


「じゃが・・・」


「俺を信じてくれ。ミストは今の俺の相棒だろ?」


「相棒・・・わかったのじゃ。レイ気を付けるのじゃ。妾もサポートするのじゃ。」


「助かる。」


フェニク、マリー待ってろよ。今助ける。


「ミスト。今の俺じゃワイバーン5体はきつい。何か良い魔法は無いか?ワイバーンの目を眩ませる光の魔法とか。居場所をわからなくする霧の魔法とか。」


「そうじゃのう・・・雷魔法なんか良いかもしれんな。レイの魔力とMPでは倒す事はできないじゃろうが、全魔力と全MPを使って広範囲に放てば、よけきれず痺れさす事ができるかもしれん。」


雷魔法か~。いいねいいね。カッコイイ。これぞ異世界って感じだ。てか痺れって麻痺の状態異常だよな?もしかしてそのまま上空から落ちてくるんじゃ?飛べないワイバーンなんてただのトカゲだな。とか言えるのかな?


「ミスト?雷魔法つかったらワイバーンを倒せるんじゃ?」


「レイの今の魔力じゃ無理じゃな。動きを数分止めるのが精一杯じゃ。」


なるほど・・・その程度なんだ・・・


「わかった。それで行こう。目指すはワイバーン達のいる所にある洞窟だ。その中に入ればマリーとフェニクがいる。」


「魔法の発動は妾がサポートしよう。」


「「ライトニングレイン」」


魔法を唱えた途端、空が一瞬にして暗くなり、ワイバーン達を中心に雷の雨が降り注いだ。


「急げレイ!動きを止めれるのは数分じゃ。」


「わかった。」


ワイバーンの動きが鈍くなったのを確認し、洞窟に向かおうとしたレイは見知った姿を目にした。


「あれは!?マリー!!!」


「えっ!?レイ!!」


「マリー無事か?でもどうして洞窟の外に?」


「フェニクが教えてくれたの。赤く光って・・・それで近くにレイがいるかもって思って。そう思ったら洞窟の中で待ってるなんてできなくて。」


「なんにせよ無事でよかった。」


「それは私のセリフよ。レイ会いたかったわ!!死んでなくて本当によかった。私・・・私・・・」


「レイよ。感動の再会じゃろうが、早く洞窟に入らないとワイバーンが動きだすぞ。」


「マリー。話は後だ。ワイバーン達を倒そう。フェニクはいるか?」


「う、うん。これよ。」


「フェニク・・・」


俺はマリーから受け取った赤く光る球を手に取った。


「レイ遅いぞ。待ちくたびれたぜ。でもまあレイならすぐ封印を解いてくれると思ってたぜ。」


「フェニク。ワイバーン5体に囲まれてるんだ。ボルテックス達に、力を奪われたから今の俺じゃ倒せない。」


「そんな事か。俺様にまかせな。こんな球に封印しやがって。久々に暴れるぜ。解放だーー。」


解放と叫んだフェニクは、ワイバーンの2倍程の大きな火の鳥になり、一瞬でワイバーン5体を黒焦げにしたのだった。





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