汐からのメッセージ

「もう、本当に昨日の海斗には嫌になったなぁ」


 僕はそう独りごちる。昨日の海斗は、僕に小説を貸してあげると言って、

 僕を自分の家に招いたのだが、海斗はどうやら僕に夏休みの宿題を見せて

もらうつもりだったらしい。


 そもそも昨日は夏休みの宿題なんて持ってなかったし、見せようにも見せようが

なかった。

 それに、海斗はああいうときだけ調子が良いんだから……全く。


 それに、夏休みは特にどこにも行く予定ないし、せっかく高校生の夏休み

なんだし、思い出を残したいな……。


 僕がはぁーっとため息をつくと、ふとスマホのバイブが鳴った。

見ると、汐からのメッセージだった。


『夏弥、明日の夜に、花火しようよっていう誘いが来てるよ。海斗と、あと

アサくんユウくんから』


 花火……? それに、から誘いが来てるのか。まぁあいつらなら

皆で楽しいことをやろうと企画もするだろうな。


 そうだ、確かに花火はあんまり家でやろうとは思わなかったし、あいつらの企画

なら楽しいかもな。

 僕は喜んで花火に行くことにした。


『誘ってくれてありがとう! 僕も、花火は楽しそうだから行こうかな』


 僕はそう文章を打ち、汐に送った。


 ついさっきまで夏休みは何も予定がないなんて嘆いてたけど、花火という

いかにも夏らしいイベントが出現したから、少しは思い出ができそうだ。


 僕は誘ってくれた汐に感謝のメッセージを送りながら、明日の花火にただ

期待を寄せるばかりだった。

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