海斗の意外な一面
僕と海斗は、コンビニの前の空きスペースでアイスを食べた。
「うん、やっぱり美味い!」
海斗がチョコアイスを一口食べるなりそう言った。
「真夏に食べるアイスほど、美味いものはないよな。夏弥も、そう思うだろ?」
海斗が僕に聞いてきた。
「うん、そうだね。真夏のアイスって、なんでこんなに美味しいんだろ」
僕は思っていた疑問をそのまま口に出した。
「やっぱり、体が冷たさを求めてるんじゃないかな。今まで灼熱地獄だったのに
アイスを口に入れただけで、一気に冷たさが体中を駆け巡る感じがするし。
俺は、アイスの冷気が身体中を駆け巡って、そうしたら身体中が涼しくなるって
いうイメージでアイスを食べてるな。そうやってイメージした方が、普通に
アイスを食うよりも涼しいだろ?」
海斗がそう言った。なるほどな。確かに、普通にアイスを食べるより、アイスの冷気が身体中を冷やしてるってイメージした方が、より涼しくなりそうだな。
それに、海斗って意外と発想力が豊かだよな。僕はあんまりアイスの冷たさが
身体中を冷やすっていう面白い発想は今の今まで思い付かなかったし、ただ
アイス美味しいなって思いながら食べてただけなんだよな……。
うわ、ちょっと恥ずかしいな。僕は己の発想力の無さにただただ赤面した。
もっと発想力を育てることにしよう、うん。
*
それにしても、今日は海斗の意外な一面を見れた気がするぞ。
僕は海斗を見ながら思う。すでに海斗はチョコアイスを食べ終えており、ゴミ箱に
捨てるところだった。
僕は海斗にどうやって発想力が豊かなのか聞いてみることにした。
「ねぇ、海斗」
僕はおもむろに海斗に話しかける。
「え、どした?」
「海斗って、今のアイスのイメージといい、どうやったらそんな発想力が豊かなんだろうって思ってさ。なんかコツとかあるの?」
僕は聞きたかったことをそのまま言った。
「あぁ、発想力のことか。昔っから小説とか、マンガとか読んでたからかなー。
そういうのばっか読んでたら、いつのまにか今みたいな発想力が身についたのかも」
海斗は顎に手を当ててしばし考え、そう言った。
「へぇ、マンガや小説か。確かに、小説とかは発想力が豊かになりそうだし、
良いかもね。僕は最近あんまり小説読んでないし、読んでみようかな」
僕は言った。
「あぁ、良かったらオススメの小説貸そうか? 読みやすいやつにしてやるよ」
海斗はそう言ってくれた。
「ありがとう。海斗がそう言ってくれるなら読んでみるよ」
僕は海斗にお礼を言った。
それにしても、海斗が小説を読んでるなんて意外だなぁ。
この夏休み中に、友達の新しい一面が知れたのは良かったかもしれない。
「今から俺の家行くか? 小説とか漫画とかいっぱいあるぞ」
海斗が『来いよ』というジェスチャーをしながら言った。
「じゃあお言葉に甘えて、行かせてもらうね」
僕はそう言った。
「じゃあ俺の家に、レッツゴー!」
海斗は自転車を押しながら、右手を挙げて言った。
まだ暑いが、アイスのおかげでどうにか身体の中は涼しい気がする。
僕はコンビニの入店音を聞きながら、海斗の後ろを着いていった。
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