探偵少女と情報調査 ①
午後八時。響は稲本が作ったペペロンチーノを食べながらテレビのニュースを眺めていた。最近熱中症に似た症状で搬送された人物が増えているとのことだ。四月であるにもかかわらず気温が三十度を記録する日があるため、気を付ける必要があるなと響は感じていた。
「そうだ、稲本さん。食べ終わってから見て欲しい物があるんだけどいいかな?」
「おぅ、良いぞ。けど、一体どういうものだ?」
「それは……まだ、言えないかな」
「そうか。なら、食べ終わってから俺の部屋に来てくれ。調べた方が良いことがあればPCで調査した方が早いしな」
響は稲本から了承が取れたことに安堵しつつ、ワカメが入った味噌汁を飲んだ。ペペロンチーノと味噌汁の相性は意外にも良いなと響は思いつつ、食べ終えた。
食器を流し台に持っていき歯磨きなどを済ませた響は八時十分に稲本の部屋に入った。部屋の中には白色のクローゼットや青色のベッドに黒色の棚付きテーブルセット、漫画やコミックと言った仕事以外の物も置かれていた。
椅子に腰かけた稲本は真剣な顔つきで響を見つつ「それで、調査したいものは何だ?」と質問した。
「これが気になったの」
「これは……なんだ? アルバイト?」
「そうなの。同好会に来た依頼で闇バイトについて調査してほしいんだって」
響はメンバーではなく依頼された内容だと嘘をついた。万が一部員で闇バイトに加担する可能性のある人物がいると稲本が知れば即刻退部させられるからだ。
「なるほどなぁ、まぁ調査に関しては得意分野だ。スマホ借りるぞ」
「あっ、いやスマホはちょっと貸すのは……」
「……あぁ、なるほどな。彼氏さんとのやり取りを見られたくないって訳か」
「べ、別に彼氏じゃないし!!」
「冗談だよいかんなって。まぁ、取り合えず資料を送ってくれ」
響は頬を膨らませたむっとした顔つきで資料を送信した。稲本は資料を確認すると「確認した。しっかりと調査するから、部屋に戻っておいてくれ」と言う。
「分かった、それじゃお願いね」
響は頷きながら部屋を出た。待ち時間が出来た以上、やることは決まっている。いつもの様に勉強するのだ。探偵を目指す以上、最低限勉強が出来なければ足元をすくわれる可能性がある。高校の勉強は使わない物もあるが実生活でふとしたことで使うことがある以上、努力するに越したことは無い。
この日、響は化学と数学、社会の勉強を行った。予習と復習を一時間程度こなした響は休憩がてらベッドの上に寝っ転がりながらスマホの電源を入れる。すると、将棋ミステリー同好会のチャットで一件通知が来ていることに気が付いた。
響は画面に表示されている通知をクリックし内容を確認する。数秒間かけて遷移した後、画面に移された情報は将棋に関連する事だった。六月二週目の日曜日に他校と将棋交流会をすることになったらしく、その為の練習会を五月中にすると言う事だ。
最も、宮前がいる以上ミステリー漬けになることはほぼ確定しているが、仲間と過ごす時間を大切にしたい響はもちろん行きたいと考えたためアンケートで参加希望と入力した。
時間を確認するためにベッドに寝っ転がりながら頭を目覚まし時計の方へ向ける。時刻は十時を指していた。そろそろ眠る必要があると考えた響は参考書などの準備を行った後、ベッドの中に入り眠りについたのだった。
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