挫折 沈みはじめる私

 試合開始のブザーが鳴り響く。それと同時に押し寄せてくる歓声、鋭い目線。このあたりからの記憶はもうほとんどない。気づいたら、試合は終わっていた。旗が上がる音。私を味方してくれた旗は4本中1本。その時、私のリベンジは見事に散った。そして、地上と私を繋ぐ糸が、ぷつんと、切れた。頑張った結果がこれなら頑張る意味がない。馬鹿馬鹿しく思えた。頑張っていた自分、そして私は強いとたかを括っていた自分が。


 この頃から現在まで、何か1つを心から全力で取り組んだのはこれが最後だった。いや、取り組めなかった。切れた糸を元通りにすることはできないから。


 海中に入ると、暗くて寒い。初めは、怖くて動けなかった。そう。何もできなかった。あのころは。空手は週に2回通い、ただただ身が入っていない時間を過ごすだけ。だって無駄だから。勉強に関しても、前ほど頑張れなくなった。医者という夢を叶えるためには、本当はこの頃から頑張らないといけなかったのに。課題だけをこなす毎日。時間がなんとなく過ぎていく毎日。あとどのくらい沈んでいくのだろうか。

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