可愛い声

「あやめっち、こんばんはー!今日も来たよー」


「あ、イセっち、こんばんはー!いらっしゃい!」


「あははは...言うても、千百年ほど前から、ほんまは、ずっと、いるんやけどなっ。あやめっちのところに来るの、めっちゃ楽しくて好きやわ~」


「えっ?ほんまに?」


「ほんまほんま」


「うちも、イセっちと会うの楽しみになてきたわ...」


「えーっ?それは嬉しい!...でも会うって言っても、あやめっちからは、うちの姿、見えてへんやろー?」


「えっ?まあ、声だけですけど、しゃべってるだけで、なんか、めっちゃ面白い...」


「あ、そうなん?そう言ってもらえると、めっちゃ嬉しいわ」


「この場所は、京都にめっちゃ近い大阪やから、歴史的な霊とかも、ほんまにいそうやから、しゃべってても楽しい...それに、めっちゃ可愛い声やから...」


「きゃあああ、可愛い声やなんて~!」


バチーン!


「うわっ!...なんか今、当たった?」


「可愛い声やなんて言うから、思わずスケッチブックで、あやめっちをたたいてもうた!」


「可愛い声って言われたら、たたくんですか~!もう...」


「えへへ...ごめんごめん...つい」


「つい、じゃないですよ~、ていうか、スケッチブック持ってはるんですね?」


「スケッチブックはいつも持ち歩いてますよ~好きやから」


「絵、描くの?」


「そやで」


「絵、描くの好きなんですね?」


「えっ?うんっ!まあね...って、おっ?今日は数学のグラフ描いてるん?きれいに描けてるでー!」


「ありがとう!...でも、いくらきれいに描けても、数学の問題を解かんと意味ないねんけどな」


「そうなん?」


「そりゃそうだよー!そのためのグラフなんやから」


「へぇー、で、問題は解けたん?」


「まあ、グラフを描けた時点で、だいたい問題も解けてるけどなっ」


「おっ!すごいやんっ、あやめっち!」


「あっ、そうや!」


「えっ?なに?」


「イセっちに、絵、見せたるわっ」


「えっ?あやめっちの描いた絵、見せてくれるん?」


「うんっ!ほらっ!...これ、うちのスケッチブック...」


「うわっ!あやめっちのスケッチブックめっちゃ可愛い」


「えへへ、そやろ?そんで...はいっ!絵はこんなん描いてるよ」


「うわーっ!めっちゃ可愛い女の子のキャラクターやなー!...あやめっちのオリジナルキャラなん?」


「まあ、そやなー!」


「なんか、うちに似てる気もする...」


「えーっ?ほんまにー?」


「うんっ!...」


「イセっちって、こんな感じなん?」


「そやなー!なんか、めっちゃ似てるような気する...着物を着てるし...」


「あっ、そっか...イセっちも着物を着てるんや...」


「うんっ!そうやでー!...あやめっちも、着物、好きなん?」


「えっ?そやな~、なんとなく好きで、描いたりしてる...」


「へぇー、きれいな着物の柄やねー!うちの着物にも似てる...」


「えーっ?そうなん?」


「うんっ!めっちゃ似てる...」


「へぇー、それは知らんかった...」


「そりゃそやろー!あやめっちは、うちのこと見たことないんやから」


「そやな~」


「あ、ほな、もうそろそろ行くね~、ほなね~、またね~、さいなら」


「えーっ?もう行っちゃうのー?...って、また存在感なくなってもうたやないの~。行ってもうたんやな...」





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