えっちな絵

「こんばんはー!また来たでー!まだおきてるー?あっ、机にむかって宿題?」


「あっ、こんばんはー!え、まあ、宿題です」


「うそやーっ!ノートにえっちな絵、描いてたやんっ」


「急にあらわれて勝手に見んといてくださいっ!」


「あはは...でも、えっちな絵うまいなー」


「そうですか?...って、いいんですよっ、ほっといてください」


「わかるわかる、うちも、よう、えっちな絵を描いてたしなー」


「えっ、そうなんですか?」


「あんたと同じ14歳くらいのころは特に描いてたよ」


「へぇー、そうですか」


「こう見えて、うちも画家でもあったんやからな...って、あ、そうか...見えてないんやな~」


「見えてないですよっ、声だけなんですから...」


「あはは、そうやった...でも、あんたも、声だけやのに、うちの声に、よう答えてくれはるな~、そこは嬉しいわっ」


「まあ、そういう現象、好きですからね...特に平安時代とか、歴史的なことなんかにも」


「あ、そうなんや...歴史的なこと好きなんや!それは良かったわ」


「だから、声だけ聞こえてきても、そうなんや~平安時代の人もいてはるんやな~って感じで面白く聞いてますよー」


「人によっては、こわがって、あんまり聞いてくれへん子もおるのになっ!あんたは、そんなに、こわがってもないしなっ」


「むしろ面白がって聞いてますからっ」


「それはええことや」


「名前はなんと?」


「うち?...そやな~、『イセっち』とでもしとこか!」


「イセっちさん?」


「そやな、あんたは?どう呼べばええの?」


「あやめっちって、みんなに呼ばれてるから、あやめっちでいいです」


「あやめっち!わかった!よろしくねっ」


「よろしくねっ、イセっちさん!...でもイセっちさんは、イセっていう名前なんですか?」


「え?まあ、イセっていうのは、伊勢さんっていう、うちのめっちゃ好きな推しの名前から、とったんやけど...」


「伊勢さん?あの例の、伊勢さん?」


「そうやで~!あの例の、百人一首とかの伊勢さんのことやで~!」


「『なにはがた~』の伊勢さん推しなんですねっ」


「あやめっちも、『なにはがた~』を好きなんやもんなっ」


「百人一首やと、いちばんくらいに好きかも...」


「もう、あやめっちも、伊勢さん推しやないの~っ!うちも、いちばん好きやからなー!なんか、あやめっちとうちは似てる気するわー!もしかして生まれかわりなんかなー?」


「えーっ!ほんまですかー?」


「いや、まあ、たぶん、ちがうやろうけども...」


「でも、おたがい、伊勢さん好きなところは、いっしょですねー」


「そやなー、ほんまやなー!あっ、そうや!うちの描いた絵も見せたるわっ!...えいっ!」


「うわっ!...急に、絵、パラパラと落ちてきたでー!...どれどれ...どんな絵かな~?って、めっちゃ可愛い。可愛い女の子の絵やー!やっぱ、イセっち、絵を描くの上手なんやなー」


「うふふ、気に入ってもらえたかしら...」


「めっちゃ可愛い!参考にさせてもらおっ!」


「どうぞどうぞ!ほな、またねーバイバイ~」


「あ、バイバイ~!あ、でも、イセっちは、本名は何なん?」


「えっ?うちの本名?」


「はいっ!イセっちさんの本名...」


「えっとね~、うちは名乗るほどでもないやろから、『イセっち』って呼んでくれてたら、それでええわっ!ほなね~、またね~さいなら」


「えーっ?ちょっと待って~...って、また存在感なくなってもうたやんっ。どうやら、ほんまに行ってもうたみたいやな...」


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