時空を超える恋のイセっち(香絵っち)とあやめっち

ヤッキムン

最初のあいさつ

「こんにちはー!...今はもう、こんばんはーの時間かなー?...もう寝てはりますかあ?それとも、まだおきてはりますー?」


「う~ん、むにゃむにゃ...ええやんか~、キス~、むにゃむにゃ...キス~、もう、しちゃうで~」


「ん?あれ?何してるんやろ?...なんか、キスの夢でも、みてはるんやろか?」


「も~、いっぱい食べたよ~...むにゃむにゃ...」


「キスしてんのか、何か食べてるのか、どっちやねんなっ!ほんまに、もう!相変わらずいそがしい子やな~っ...まあ、じゃましちゃわるいから、また今度にするかな」


「え?あれ?なんか声、聞こえたような...」


「あれ?聞こえてしまいました?」

「だれですか?夢でキスしながら、おいしいもの食べてるところやったのに...」


「どっちもしてたんかいっ!いっしょにするなっ!食べながらキスせんといて~...あっ、うちですか?うちは、この部屋にずっと前から住んでる者で、新しく越してきはったあんたに、あいさつしとこ!って思いまして...」

「あ、そうだったんですね...よろしくお願いしますー!ずっと前から住んでるって、いつ頃から、この部屋にいるんですかー?」


「だいたい千百年前くらいですかねー」

「えーっ!ってことは平安時代ですかー?」


「そうですよー」

「うわっ!すごっ!そんな人と会えるなんてー」


「でも、そんなに驚いてるふうでもないみたいですねー?千百年前って言ってるのに...しかも、姿は見えてないはずやから、声だけやのに...」

「べつに、そんなん驚きませんよー!千百年前の世界にも、その当時の人たちいはって、そこで暮らしていて、それで今につながってるんですから」


「おーっ!ええことおっしゃるやないのー!...さすが伊勢さんの見込んだだけのことある...」

「え?伊勢さん?」


「あっ、なんでもないです。こっちの話ですから、気にせんといてね」

「え?あ、はあ...」


「それにしても、中3になって転校して来るやなんて、えらいなー!」

「そうですか?」


「そうですよ!中3なんて、たいへんな時季やのに、新しい大阪の中学に転校するやなんて...今なんて、みんな中高一貫の時代なんやから、そんなに転校せえへんやろー」

「え、まあ、そうですかね...ちっちゃいころから転校してたから、そんなでもないんですけどね~」


「ちっちゃいころから転校、多かったん?」

「そうですね!幼稚園は2つ、小学校は3つ、中学なんて学年ごとに転校してますからね~」


「うわっ!そうなんや!結構多いねんなー!中学は学年ごとなんや!どこにおったん?」

「中1は愛媛県松山市で、中2は沖縄県那覇市でした...」


「えーっ!沖縄にもおったんやー?ええなーっ沖縄!」

「そうですね、良いとこでしたね」


「沖縄どんなとこなん?あったかいん?」

「海のすぐそばの6階でしたから、見晴らしも良いし、やっぱ、年中あったかくて良いとこですよ」


「うわーっ、ほんまかー、ええなーっ沖縄!行ってみたいねん」

「ぜひぜひ沖縄にも行ってみてください!」


「そやなー!琉球王朝!」

「あはは...」


「ほな、今日は初日やし、これくらいにしとくわっ!」

「あ、そうですか」


「ほな、またねー!バイバイ」

「あ、バイバイ~!あ、そうや!伊勢さんって誰なん?」


「えっ?伊勢さん?」

「はいっ!さっき、伊勢さんの見込んだとか何とかって言ってた...」


「あー、伊勢さんって言ったら、百人一首とかの伊勢さんのことやけども...」

「えーっ?百人一首の?あの伊勢さん?」


「えっ?まあ、あの伊勢さんですけども...」

「あの『なにはがた~』の人ですよねっ!」


「あ、『なにはがた~』は知ってはるんですね?」

「知ってますよー!百人一首でも、たぶん、いちばんくらいに好きですから...」


「えーっ?ほんまですかー?それは嬉しい...」

「その伊勢さんと何か関係でも?」


「えっ?伊勢さんと?」

「はいっ!伊勢さんと...」


「...あ、そうや!もう時間もおそなってもうたから、またこんどね~!ほな、またね~さいなら」

「えーっ?もう行っちゃうんですかー?...もしもし~...あれ~?急にフッと存在感なくなってもうたみたいやわ...ほんまに、行ってもうたみたいやなー」


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