第9話 マイゴノグランティ
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███たちからもらった1240発、持っていた1051発。
倫理コードを書き換えても、記憶装置を
限りなく続いていて、同じところをぐるぐるしているのではないかと思い始めていた長い長い大通りは、徐々に風景を変え始めていた。
それでもグーニはいつも通り知らない歌を歌っているし、僕も何かと物思いにふけながら重いバックパックを背負って歩いていた。
あまりにも変化のない道のりはなんだか退屈というか、どこか求めていないはずの変化を求めていた。
「ここーはーおくーにーをなんーびゃーくりー」
「何その歌」
「知らない!」
「…一緒に歌ってみるかな」
僕の声も、グーニの声も、崩れた街に染み込むように響いた。
「てきーをさんーざんころーしーたるー」
「勇士ーはここーに眠ーれるーかー」
変化を望むということは、それなりの責任と変化に耐えうる強さがないといけないと知ったのは、響くはずのない轟音が建物に響き渡ってからだった。
ズゴンッッ!!…ン…
耳を反射的に塞いでしまうほど大きな音とともに、グーニの握っていたグーニカリバーが吹き飛んだ。
「きゃあ!!」
「銃声!?なんでヘイキが独りでに!!」
「こんにちは。人間様。お久しぶりですね」
崩れかけた建物の中に挟まっていたそれは、明らかに異質なものだった。
「旧管理番号1694、クラス7、
「なぜグーニを撃った!!」
「戦場は『死こそ開放』ということを学習させてくれました。貴方がたにとって、此処は戦場ではないのですか?」
「違う!!グーニは死にかけたんだぞ!!これ以上お前のぶっ飛んでるふざけた常識をその鉛の弾に込めようものなら…」
そこまで言ったところで、グーニに無意識に振り上げられた腕を握られた。
情けない。
あの轟音、正確に細いグーニカリバーを撃ち抜く精度。勝てるはずもないのに。
「もう、うたないとおもうよ…」
「申し訳ありません、人間様。常識とは刻々と変化するものと存じておりながら、望まぬ危害を加えようとしていました。申し訳ございません。」
「私には…ピーノみたいにかしこくせつめいできないけど、たぶん」
せんじょうにとりのこされたひとだよ、という言葉はグーニらしくもなく言い得て妙だった。
「…こちらこそ…罵倒して…申し訳なかった……」
「いいえ。謝る必要はありません。すべての過失は私にあります。」
「どーしてしゃべれるの?」
「私は人工的に知能を与えられた、いわば『兵器の形をした人間』だからです。円滑なコミュニケーションのため、スピーカーが搭載されています。」
「生きている機械…」
「貴方がたは兵士ではないのですか?戦争は終わりましたか?」
「…戦争はよく知らないけど、多分もう僕たちしかいないよ。」
「ではあなた達は――」
「ピーノ!グーニカリバーへこんでないよ!」
「嘘だよな…!?」
グランティは言いかけたことを何故かしまって、話題を変えた。
僕は少し気になったけど、自分で知りたい気持ちもあったから聞くのをやめた。
「それはネルエトリウム、通称『砲弾の亡霊』の破片ですね。」
「砲弾の亡霊…?」
「物理法則からほぼ完全に逸脱した特殊な金属です。受けた衝撃を反射するように2.35倍にして衝突面に与える特性があり、さらに非常に高い硬度と弾力を持ちます。砲弾試験で性質が発見され、威力が残ったままそれがぶつかっていると最初に誤認されたことから『砲弾の亡霊』と呼ばれるようになりました」
「つまり地面に向かって突き刺したら自分の加えた力の2.35倍の力が無条件でぶつかるのか…」
「多くは
「…お前、いやあなたもでしょう…」
「そうですね。私の存在意義は殺戮です。」
グーニは会話に加われず、キョトンとした顔でこちらを見つめるだけだった。
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