【14】アリネを見つける
アリネの後を追って洞窟の奥へと進んだのはいいものの、奥にも盗賊達がいたようで、結局盗賊達と戦闘になってしまった。
まぁ、アリネと戦う前のウォーミングアップとしてはいいかもな。
そんなことを考えながら盗賊と戦ってはいたものの、どうやら奥にいた盗賊達は村を襲ってきた盗賊達よりも腕は立つようだ。装備屋戦い方を見る限り、恐らくだがこの者達がこの盗賊団の幹部といったところかもしれない。
「
「おっと」
盗賊が放ったまるで鉄のように圧縮された水の斬撃をかがみながら避ける。
「死ねぇぇぇぇ!!
別の盗賊が雷で覆われた大きな手で切り裂こうと飛び掛かってきた。
「
石の塊で襲ってきた盗賊の眉間を撃ち抜くと、バランスを崩した盗賊は思いっきりしりもちをついた。村を襲ってきた盗賊族達よりも多少強いとはいえ、こんなところで足止めを食らっているわけにはいかない。
「ちゃっちゃと終わらせるか……」
少し本気を出せば難しくはない相手だったため、魔法やスキルを駆使して盗賊達を気絶させると、アリネを追いかけるために洞窟の奥へと向かった。
走ること数分、道に迷いながらもようやくアリネのいる部屋にたどり着くことができた。
この部屋は他の部屋とは違って、家具などはいい物を使っているようだ。そしてアリネはというと、その部屋のソファーの上で寝転がっていた。
「ん? へー……、あいつらを倒すなんて中々やるじゃないか」
どうやら、先程まで寝ていたようで、アリネはそう言いながら眠たそうに眼を擦りながら体を起こしてこちらを見る。
「それにしても、こんなに早く……」
「アリネ!! どうして盗賊なんてしているんだ」
「……ビックリするなぁ。そんなに大きな声を出さないでよ」
アリネはソファーに座り直して俺のことを睨んでくる。
こんな殺気を出せるようになったんだなぁ……。
転生してからこれほどまでの殺気を感じたことは無かった。それに、こんなに冷たい殺気をぶつけてくるアリネを見たことがなかったため、どことなく大きくなったんだなという感想が浮かんできた。
「さっきもそうだけど、あんたはどうしてうちの名前を知ってるんだい? うちとあんたは初めましてだと思うんだけどね」
「だからさっきも言っただろ。俺がお前の師匠だからだよ」
さらに鋭い殺気を放つアリネ。
「……うちもさっき言ったよな。二度とうちの師匠を名乗るんじゃないって」
沈黙が流れる。自分が師匠だということを納得してもらうためにはどうしたらいいのか、話し合いの場に引き込むにはどうしたらいいのかと頭を働かせる。
昔話でもするか……? でも、そんな俺が師匠だと分かってくれるような思い出なんてあったっけ……。
記憶を掘り返してどうにか戦わずにすむ方法が無いかと思案していると、ナイフが飛んできたため咄嗟に避けた。
「おぉ、すごいねあんた。完全に不意を突いたと思ったけど、まさか避けるなんてね。やるじゃないか」
パチパチと馬鹿にしたように拍手するアリネを見て気が変わった。平和的に解決しようかと思ったが、ちょうどいい機会かもしれない。昔から人を大人しくさせるには、力の差を見せつけることが効果的なのだ。それに、成長した弟子の実力を見ておくのも悪くない。
「12年か……。お前がどれだけ成長したのか見せてもらおうか、アリネ」
「何を言っているのか分からないけど、いいよかかってきな」
12年ぶりの再会を果たした俺とアリネは、久しぶりの師弟対決に興じるのであった。
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