第2話 高野豆腐
昔は苦手でした。
食感がどうしても馴染めず、肉詰め煮は何とか食べられたのですが、高野豆腐単体である煮物などは、歯応えのあるものや味の濃いものと一緒に食べることしかできませんでした。
コロナ禍になり、自炊する機会が増えて苦手なものをどうにか克服できないものかと思うようになりました。
ネットで調べて、唐揚げ風にしてみたり、フレンチトースト風にしてみたりと試行錯誤を繰り返し、その度に挫折を味わいました。
もったいないので作ったものは全部食べましたが、敗北の味はなんとも……。
そこでふと、食感が苦手なのに味を変えるだけでは何にも変わらないということに気づいたのです。
そんな時に見つけたのが、大豆ミートでした。
大分メジャーな食材になってきたので、詳しいことは皆さんの方がよくご存知かと思います。
私はスーパーの棚に並んでいるその大豆ミートの形状に注目しました。
黒糖の塊のようなものから粉末までサイズがあり、中でもザラメのサイズを見て閃きました。
そして家に帰り、またネットで検索して情報収集。
用意したのは、鶏ひき肉、ネギ、生姜、鶏がらスープの素、片栗粉、そして高野豆腐とぶんぶんチョッパー。
ネギと生姜はみじん切りにする。
戻した高野豆腐は水気を絞り、四つに手で千切ってからぶんぶんチョッパーの中へ。
ハンドブレンダーやミキサーでも大丈夫です。
ザラメくらいの大きさになったら、全ての食材を食品用のビニール袋に入れてよく混ぜ合わせます。
フライパンでオリーブオイルを熱し、形を整えて(私は丸く薄くして)混ぜた肉だねを焼きます。
蓋をして二、三分。焼き色がついたらひっくり返して火を通します。
そうです、焼きつくねです。
いざ、実食です。
高野豆腐の食感が残っていたらどうしようとどきどきしましたが、一口、二口と続けてもあの独特の食感は感じませんでした。
ジューシーさはあまりないものの、私にはこのくらいパサついているほうが好みでした。
気になる方はタレを作ってかけたり、おろしポン酢で召し上がるのもいいかもしれません。
結果は成功です。
失敗の後の成功の味は格別でした。
その後これに味をしめて、チャーハン、ハンバーグ、餃子などに積極的に高野豆腐を取り入れるようになりました。かさ増しにもなります。
手を変え品を変え、という言葉もありますが、どうしても苦手というものがある時は、形に拘ることをせずに変えられるものを柔軟に変えれば上手くいくこともあるかもしれません。
高野豆腐は栄養豊富で低カロリー、高タンパク、そしてイソフラボンも含まれているのでお肌にも良さそうです。
ダイエットにもいいとありましたが、私は美味しさのあまりご飯が進み、あまり恩恵を受けておりません。
自業自得です。
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