偏食家のCarefree Log
大甘桂箜
偏食家の独り言(10月)
第1話 えのきだけ
週始めまで半袖でいいかと思いきや、急に寒くなってクローゼットからパーカーを引っ張り出してきました。
秋ですね。
一雨ごとに寒さが深まる時期でもあり、昼夜の寒暖差が体に微妙に負担を積らせる時期でもあります。
毛穴が夏のままなのか、ちょっと体を動かせば汗をかくのに、湿気の少ない風が吹くとその汗はすぐに引いてついでに体が冷えてしまう。
夏の猛暑日に比べたら格段に過ごしやすいのですが、油断をすると不調を招いてしまう微妙な時期でもあります。
皆さんも体調管理、気をつけてください。
買い物に行くと食欲の秋本番で、様々な秋の実りが並んでいます。
柿、梨、栗、新米、飲食店では新蕎麦の文字も見かけます。
食いしん坊なのでとても嬉しい時期です。
朝晩の冷え込みがあると、どうしても体を温めたくて鍋など食べたくなります。
そんな時に必ず買うのが、えのきだけです。
偏食で、味の独特なきのこ類はあまり手に取ることはないのですが、えのきだけは鍋の定番で必ず買います。
袋から出すと鼻をつく香り。くしゃみをしそうになりながら水洗いして、人参と大根をいちょう切りにします。
それらを水を張った鍋に入れて、顆粒の昆布出汁も入れて一煮立ちさせます。
その間に、鶏ひき肉、生姜のみじん切り、鶏がらスープの素を混ぜ合わせて、灰汁を取った鍋にスプーンで丸めて落とします。
鶏団子の色が変わったら、味噌を解き入れます。
鶏団子味噌汁です。
人参も大根も薄いちょう切りにしたので火の通りもよく、鶏団子の旨味も染みています。
そして、全部のエキスを吸ったえのきだけ。
歯ごたえがあり、解しきれなかった束を噛むと溜まっているスープと食感でしばらく噛み締めていられます。
この独特の噛みごたえ、そこから染み出る熱々のスープ。
鍋の季節がきたのだと実感します。
またしても夏の名残の毛穴から汗が出てきて、タオルで何度も拭います。
でも、美味しかったので満足です。
食べ終わった後に皿を洗い風呂の用意をしていると、口の中に違和感が。
部屋に戻り鏡を見ると、歯間に挟まった白い繊維が複数ありました。
そう、えのきだけです。
えのきだけは熱を加えると柔らかくなり繊維も細いので、高確率で歯に挟まります。
舌で何とかできないかと毎回試してはみるのですが、結局デンタルフロスの手を借りることになります。
鍋 + えのきだけ = デンタルフロス
私個人の数式です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。