P.8


  …………ん?

  ちょっと、待てよ……………


  自ら車に飛び込んではいない………

  ……………となると、


  シンゴは、どうして……………


  エミの叔父さんが運転する………


  “車の前” に、突然…………

  飛び出したりなんかしたんだ…? )



   僕は、頭を抱えた………。

  すると、シンゴ少年が…………



 「 あっ、さっき…………

   ケンジぃ………… いやっ、


   僕の友達に、たまたま会ってね……


   雨が降るからっ………

   一緒に帰ろう………って、


   そう言われたんだけど…………


   ……………僕ぅ、

   まだ帰れないんだ………… 」



    少し顔をしかめながら言った。

   僕は、その時…………


   “ケンジが言っていた事” を……

   ……………思い出した。



 ( そういやぁ…………

   “あの日” シンゴは…………


   『大切な物』 を無くした………


   ……………って、

   そう言ってたんだよな………


   それを探す為に…………

   ケンジと帰る事が出来なかった……


   ……………って。


   そうだ、今、俺が………

   一緒に探してあげればっ………


   シ、シンゴは…………


   家に帰るハズだっっっ…!! )



    僕は、シンゴ少年に問い質した。



 「 そ、そうだっ、キミ…………


   何かっ… “大切な物” をっ……


   無くしてしまったんだろ…!?


   もし、よかったらっ………

   …………教えてくれるかな?


   おじさんも一緒にっ………

   探してあげるからさっ…!! 」



    シンゴ少年の…………

   僕を見るその人身は、まるで……


   宇宙人を見ているかのようだった。



 「 そこまで知ってるんだぁ…!?


   ……………えっ、えっとぉ、

   何て言えばいんだろぉ~………


   ヒモと、ビーズで出来た………


   “リングみたいなヤツ” ………

   なんだけどぉ~………… 」



 ( ヒモと…… ビ、ビーズ?


   ネックレス………か??


   そ、それとも……………… )



    イメージを浮かべていると、

   空一面が雨雲に覆われ始め………


   次第に雨がポツポツと………

   ……………降り出した。



 「 うわうわっ、降って来たぞっ!


   シンゴ君っ、早く探そう…! 」



    僕は…………

   全身ズブ濡れになりながら………

   死に物狂いで探した。



 「 ハァッ… ハァッ……


   神社の中は、もうっ………

   探す時はないみたいだっ………


   ……………そうなると、


   ここに来るまでの “経路” を……

   辿って行くしかないなっ…… 」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る