第19話 ミムもお持ち帰り
カセリアさんと一緒に街に戻ってきた。
レベルが上がったから何か変わるかな…そう思っていたが一つ上がった位じゃそんなに変わらないよな。
「今日もご苦労さん」
折角だからニコッと笑ってみた。
「理人さん…けっこ…」
「また、お前は…今度やったらクビだ、クビっ…甘やかさないで良いから行って下さい」
「いやだ、いやだ、理人さんーー」
うん、ヤバいなこれは、最低限の好感度じゃない。
明らかにそれ以上な気がする。
「理人…この世界の女は理人が思っている以上に男に飢えているんだ、気をつけた方が良いよ!今のは理人が悪い…」
「ごめんねーーっ」
連れて行かれえる門番さんに大きな声で謝った。
◆◆◆
「お兄~ちゃん…なんで何処にも居なかったの? ミムすご~く探したんだよ…」
ヤバいミムの目がまるで、全てに絶望したように淀んだ目をしている。
「え~とね」
「その横の牝は誰かな?ミムとお兄ちゃんは友達だよね? 友達を放って置いて何をしているのかな?」
まるで闇落ちしたみたいに目が濁っている。
正直言えば…怖い。
包丁でも持っていたらブスッて刺されそうだ。
コテンと首をかしげる可愛い仕草も…まるで都市伝説とかで出てきそうな少女に見える。
ニコッ
「横にいるのはカセリアさん、ミムと同じ『友達』だよ」
「へぇ~そうなんだ! 他にも友達が居たんだね」
二コパ、凄い。
この状況からいきなり普通に話して貰える状態になった。
「まぁね」
俺はチラリとカセリアさんの方を見た。
ヤレヤレという感じの顔でこちらを見ている。
よく考えたらミムはスラムの女の子だから、凄く可愛いのにいつも何処か薄汚れている。
なけなしのお金を切り詰めてデートのお金を溜めていたんだよな。
よく見れば服だって穴が空いているし、靴なんかもうゴミみたいだ。
そんな子が俺の為にお金を出していたんだ。
あの時の銀貨1枚はミムにとっては凄い大金だった筈だ。
「そうだよね…ミム貧乏だし、家も無いからグスッ、役立たずだもんんね…うぇグスッすん」
ヤバい泣きそうだ。
「ミム、あれから幾らかお金は溜まった?」
「うん、まだ銅貨8枚だけど…お兄ちゃんに」
「それは要らないよ! それじゃ行こうか?」
「えっ、お兄ちゃんどこ行くの?」
「男性保護施設で一緒に暮らさない?」
「保護施設で? えっえっえっえっ?」
「さぁ行こう」
「すぐ行こう、ほらミムちゃん」
俺とカセリアさんで放心状態のミムの両脇を抱え歩き始めた。
「だだだ、男性保護施設…えっえっええええええーーー」
よく考えたら態々スラムに住まわせて置く必要は無いよね。
しかし、カセリアさんも何かノリノリだな。
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