点字みち(月の路 原典版)

西山博雪

東京駅八重洲口

出張の帰り、

道高速バス乗り場で

盲人の男と一緒となる


男は秋葉原で買った CD を、

私は缶ビールとつまみを持っていた

一人旅の男は、

今夜は一泊して

明日、

茨城へ帰ると言う

ただ行って、

ただ泊まるだけの旅だが、

それでも楽しいのだと、

男は笑う


高速バスは定刻に終点に着いた

最後に私が降り立つと、

一人男は立っていた


私は男とホテルまで行くことにした

点字ブロックがあり、

男はすぐそれを征く

駅前の交番には、

魔改造車があった

それが点字路を遮断している

あっ!!車! 

危うくぶつかるところだった


無事ホテルまで着き、

そこで男と別れた

食事はコーラですますと、

男は言うのだった


そんな帰り道、

ほろ酔はすでに冷めていた



行きずりのバス降る街の点字みち

杖音ひびく月の道かな

 

 




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点字みち(月の路 原典版) 西山博雪 @hiroyuki575

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