1-2 群馬から来た男がそばを食べた訳ではない(下)
〔仏〕(忍者か! 何で全身黒ずくめなんだ。イケメンうんぬん以前に、顔が全く見えねえ)
〔シ〕(何で校内で黒のアームカバーとスマホ手袋?!)
〔三〕(花粉眼鏡?! 横顔すら見えない完全ガード)
〔青〕(しかも前髪分厚くて長っ。呪われそうなほどの黒髪。良く歩けるなこれで)
〔四人〕(何だあのダセーデザインの袋。【ページヤ】ってロゴも、もうちょっと何とか出来ただろうに)
仏像とシャモに
〔餌〕「僕は二年の
〔シ〕「お前本当にメンタル強すぎだろ」
あきれ顔でつぶやくシャモを気にする風も無く、餌は
〔三〕「とりあえず自己紹介するか。落語研究会の
松尾はこくりと
〔シ〕「俺は顔役、経理担当の
手短にあいさつすると、シャモは仏像に目線をくれた。
〔仏〕「顔役、広報担当の
〔松〕「仏像がお好きなんですか」
〔三/シ〕(そこ食いつく!?)
思わず顔を見合わせた
〔仏〕「君の
〔三/シ〕「俺らに同意求めんな」
また始まったと
〔松〕「これ
〔仏〕「えっ、これ君なの」
絶句しながら震える仏像に、思わず
〔仏〕「
犬のしつけのような鋭い声でさえぎられ、二人はぶーぶーと文句を言った。
〔仏〕「花粉症でそのかっこうなの」
〔松〕「ちょっと事情がありまして。学校にも許可は頂いています」
〔仏〕「絶対その方が良い。横浜は悪い奴も多いから下手に顔見せない方が良い」
安心したように笑うと、仏像はしきりに顔を見せるなと松尾に告げた。
〔三〕(あ、仏像越えのイケメンだったんだ)
〔青〕(確かにスタイルと骨格からイケメン臭がする)
〔シ〕(イケメン排除と仏像語りできる奴を
三人の心の声に気づきもせずニコニコと笑う仏像は、小さく親指を立てた。
入部OKサインだ。
〔三〕「月水金の放課後一時間、
〔三〕「自主活動は休日にやりたい時だけやるだけなんだけど、松田君って休日空いてるの」
〔松〕「いえ、ほぼ
〔三〕「そうなんだ。合コンどうかなと思って」
〔仏〕「ダメだろ横浜は悪い奴が一杯なんだよ。『女の子のタイプ ウザくない子(正直疲れた)』って書いてあるだろ。松田君は女の子と関わり合いになりたくないの。セクハラだよ。松田君を合コンに誘うの絶対禁止!」
仏像が余りにスゴむので、思わずその場にいた全員が反射的にうなずいた。
〔餌〕「松田君の中学校名、面白いね。正式名称を検索したら『
黙って話を聞いていた
〔松〕「えっ、僕の母校を
松尾の声色がわずかに揺れたのを、耳の
〔三〕「じゃ、これからよろしくね」
微妙な空気が流れかかった所で、
※※※
「
視聴覚室脇の階段を降りようとした松尾に、後ろから声が掛かる。
振り向いた松尾の前に現れたのは、小柄で真面目そうな男子生徒だった。
※本作はいかなる実在の団体個人とも一切関係の無いフィクションです。
※読みやすさ優先のため、上下に改稿(2024/2/29)
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