86 真犯人
〔下〕「どう言う事っすか! ここまで頑張ったのにそんな馬鹿な」
〔松〕「気温が下がれば試合再開です。僕もサポートしますから」
一年七組のクラスメートである
〔下〕「服部さんだってこんな終わり方嫌じゃないっすか。
もはや半泣きの助っ人・
〔多〕「政木君のお父さんは春日先生と政木君に付き添われて病院に行った。
多良橋はちらりとスマホに目を落とす。
〔服〕「応援部が三人助っ人に来たとは言え、一緒に練習した事が無い。今井君と井上君は今日が初試合で、ルール自体も良く分っていないのが事実だ」
キャプテンマークを巻いた服部はモアイのような目を苦渋の色に染めている。
〔飛〕「大会規定によると、WBGT(暑さ指数)31相当と推測される35℃を三十分以上継続して下回らない限り試合は再開不能です。それから、午後五時までに試合が終了できない場合は得失点差によって順位がつけられます。現時点ではMSKブラザーズが得失点差15点、続いて
〔山〕「
松尾の代わりに戦術分析官を務める飛島の発言に、それまで黙って成り行きを見ていたサッカー部次期キャプテンの山下が天を仰ぐ。
〔多〕「我が『落研ファイブっ』は残念ながら得失点差では大きく後れを取っている。それに、試合が再開したとしても第三試合の相手がよりにもよってMSKブラザーズだ」
〔三〕「しかも昼前でこの暑さだ。最新の天気予報だと最高気温が40℃まで上がるって。応援に来たあーちゃんだってうちのばあちゃんだってじっとしていても危ないよ」
〔下〕「そんなの分かってるっすよ。分かってるんっすよ。でも
ついに下野はわあわあと泣き出した。
〔樫〕「これは全部、僕のわがままから始まった事なんです。皆さん、
嗚咽が止まらない
その隣で、放送部長の
※本作はいかなる実在の団体個人とも一切関係の無いフィクションです。
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