85 急変
【大会会場の気温が35℃に達したため、
大会運営本部からの緊急アナウンスが何度も繰り返し流れる。
〔運〕「速やかにご移動をお願いしまーす」
間の抜けた声でメガホン片手に叫ぶ運営スタッフの呼びかけによって、自称ライトノベル作家『しこしこさん』こと外資系投資会社の元CIO(最高投資責任者)・
〔運〕「お近くのミスト付きテントにお入りくださーい」
緊迫していた餌の父母も誘導に従ってしずしずと歩いている中、事態が急変した。
〔仏父〕「おっおっおっおっ、なんだかふわふわしてきたおっ(*'ω'*) 。五郎君すごいおゴロ君すろいおゴー」
『しこしこさん』モードに逆戻りした上に舌っ足らずになった仏像父は、その場にへにゃりと座り込む。
〔餌〕「しこしこさんっ」
〔仏〕「父さんっ」
〔ピB〕「ジュゴン!」
頭の周りに花を飛ばしながらへたり込んだ仏像の父に、三人が影を作った。
〔千〕「松尾ちゃん、すぐに会場に戻りなさい。藤崎さん、松尾をよろしくお願いします。色川先生、長津田さん、大変ご迷惑をおかけしました。私は医師として
手短に告げると千景はうずくまる仏像の父へと駆け寄る。
〔下母〕「あーちゃん、お兄ちゃんの言う事を良く聞くんだよ。ひーくん、あーちゃんを頼むね」
〔餌母〕「あんたぼうっと突っ立ってる暇があったら水汲んできな」
仏像の父の体を冷やし続ける
〔三元父〕「おしぼりも使ってください。水はこの折り畳みバケツに入れて。そこの手洗いで水を
仏像が父の意識を保たせるため声を掛け続ける中、餌と餌の父はシャモの父と共に全力でバケツリレーをする。
〔藤〕「松田さん、会場に戻らなくては」
〔長〕「松田君、君は試合には出られないんだ。戻ろう」
藤崎しほりと長津田の言葉が聞こえないかのように、駐車場へと向かっていたはずの松尾は下野の背を追ってテントに入った。
※※※
〔多〕「皆本当によく頑張った。ありがとう。それで……。
※本作はいかなる実在の団体個人とも一切関係の無いフィクションです。
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