75 双子姉妹とフェミニスト
【試合会場 午前九時十分】
『かしわ台コケッコー』には危なげない試合運びの『落研ファイブっ』であったが、松尾の
時は第二ピリオド、キックオフから約二十分が過ぎた頃である。
〔うい〕「れんちゃん! 何とかもう一点頑張るらっ」
怪我をさせないようになるべくコースを消す守備をしているのに何度も突っかける
〔うい〕「れんちゃん、ゴー君にタックル!」
〔仏〕「いやそれ反則うううう!」
真っ赤になりながら仏像とボールの
〔仏〕「だめだもう限界。こっちの精神がもたん」
仏像は大きな×マークをベンチに掲げて、
〔多〕「どうした、怪我か」
〔仏〕「いや、れんさん相手は調子が狂う」
〔多〕「れんちゃんに恋しちゃったの。れんちゃんだけに」
仏像の父が言いそうな
〔仏〕「違うわ。いちいちファンに恋してたら、俺は何体に分裂しなきゃならんのよ」
〔多〕「へええ。色男はつらいねえ。しこしこさんは張り切ってるし」
〔仏〕「頼む、うちの父親をその名で呼ぶのは止めて。奴が正気に戻った時に目も当てられん。いい加減父さん黙ろう。この調子だとどこかで電池切れするぞ」
仏像が呆れたように競技関係者席を見ると、仏像の父は満面の笑みで大きく仏像に手を振った。
※※※
〔天〕「ずらすなっ。もっとぴっちり人にもマークっ」
〔服〕「無理いいいっ。ケガさせたらどうすんだよ」
仏像の代わりにフィクソ(DF)にずれた服部も、小柄な女子二人相手に肉弾戦はやりづらいらしくマークが甘くなる。
〔飛〕「それが
飛島は戦術分析ノートに『
第二ピリオドが終わり、スコアは三対一で『落研ファイブっ』が
『かしわ台コケッコー』の守備陣は男性で、インカレのお遊びサークルにしては
〔多〕「れんちゃんは、そうとうバテているな。第三ピリオドはういちゃんがワントップ。ベンチの誰かをアラ(MF)に入れて1-1-2-1にしてくると思う」
〔服〕「俺にあの姉妹のケアは無理です。たまごをつぶしに行くみたいで、とてもチャージに行けません」
仏像が服部の発言に全力で同意した。
〔餌〕「何甘い事言ってるの。ひとたび
餌がパンダのような顔を
〔シ〕「そう言えば松田君も今日がコンクール本番だよな。どうしてるんだろ」
〔飛〕「試合を気にしていたから、叱り飛ばしておきました。演奏が終わるまでは誰も返信しないと
グッジョブと仏像が飛島に向かって親指を立てると、
〔餌〕「分かった。僕がフィクソ(DF)に入るっ」
〔仏〕「えっ、練習でもやった事ないじゃん」
〔餌〕「そこの
〔飛〕「僕は
こう言う時のつれなさは、どこか松尾によく似ている飛島純十六歳である。
※本作はいかなる実在の団体個人とも一切関係の無いフィクションです。
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