79 勝敗の行方
【『落研ファイブっ』対『うさぎ軍団』第二ピリオド 午前十時十八分】
〔下〕「
〔服〕「俺えええっ」
〔長〕「服部、ゴールは任せろ。俺を誰だと思ってる」
〔服〕「
〔長〕「違う。俺はピヴォ(FW)兼超攻撃型ゴレイロ(GK)にしてプロレス同好会の華・
闘魂に火が付いたらしい長門は、水龍のごとき雄たけびを上げてロングボールを蹴り上げた。
※※※
〔シ〕「俺もう無理なんだけどおおお」
〔下〕「ポスト、点入れなくても良いからポストっ」
〔シ〕「無理いいいいっ」
『うさぎ軍団』に容赦なく削られ続けたシャモは、ついに豪雨の中バツ印を大きく掲げた。
〔多〕「あいつにゃあれが限界だな。
〔樫〕「もちろんです。皆さんに少しでも恩返しをしなくては」
樫村が交代しようとしたその時――。
〔下〕「あっ!」
相手ピヴォにつり出された
〔う〕「よっじゃああ。あど二点ば取るどおお」
〔下〕「集中! 集中!」
〔多〕「二点ばどれえっ!
第二ピリオド終了直前で一点を失った『落研ファイブっ』。
時刻は午前十時二十五分を回った所である。
【『生き地獄』ファイナル 午前十時二十六分】
プロコフィエフのピアノ協奏曲第三番はいよいよ終盤。
独特なグリッサンドで知られる難所に差し掛かった松尾は、全身を
〔色〕(この演奏を残りの子たちが超えられるか――。いや、この演奏を超えられるプロは世界広しと言えどそうはいまい)
そして――。
松尾は『落研ファイブっ』と自身の勝利に捧げるように、最後の一音を鳴らし終えると手を高く空へと振り上げた。
※本作はいかなる実在の団体個人とも一切関係の無いフィクションです。
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