41 白蛇に睨まれたシャモ
〈
〔三〕「今日の
〔シ〕「シャレになってねえんだよ」
味の芝浜の
〔シ〕「
〔松〕「
だから俺はやる事やった記憶がないのとシャモが天井に向かって叫ぶ。
〔餌〕「しかしヒトと
〔シ〕「確かにしほりちゃんは俺のタイプだったよ。だけどあれはひどすぎるだろ。皆と電車で帰れなくなったし、こうして話せるのは学校と部活の日だけだし。何で『友達から』って
シャモはビワの葉茶が入ったジョッキをどんとテーブルに置く。
〔仏〕「
〔松〕「
〔三〕「お前モテない組だっただろ。この
学食で『お百度参り』おせち三段重を平らげた
〔シ〕「お前ら非モテ野郎どもは勝手な事ばかり言いやがって。俺はしほりちゃんとキスやら何やらどころか、何を話したかすらまともに覚えてねえの。全然美味しくないポジションなの」
〔仏〕「俺が非モテ野郎なら世界中の男は全員非モテだぞ」
〔松〕「非モテ野郎上等。最愛の人にだけ愛されるのが望み」
〔餌〕「僕は女体が好きなだけで、交際結婚は眼中に無いし」
シャモの
〔三〕「シャモの心配なんかしてる場合じゃない。彼女いない歴十八年になったのにまだ何の気配もねえ。いっそ加奈さんに誰か紹介してもらおうか」
〔仏〕「やめとけ。どうせ
〔松〕「やる事やってポイ捨て。僕がしほりさんだったら、横っ面張り倒して引きこもりになる事態ですよ」
松尾が加奈の口調をまねて『みのちゃん最低ー』とシャモを責める。
〔シ〕「だーかーらー! 俺には一切の映像も音声も感触も記憶に残ってないの。しほりちゃんが美人だろうが金持ちだろうが関係ないの。やる事やったかどうかの証拠もないの。それに、
〔餌〕「
〔シ〕「
〔餌〕「えっ、蛇って人間より寿命短いじゃないですか。精々持って二十年ぐらいでしょ」
〔松〕「サイコパスだ、サイコパスが隣にいるうっ怖いいいい!」
しほりの寿命を推測しながらビワの葉茶を飲み干す
〔仏〕「ああ、そう言う事。なら
アホの子と化した仏像が、セミロングヘアを揺らしてうつむく。
〔松〕「何でしほりさん白蛇説を確定させちゃうんですか。白蛇うんぬんは
〔シ〕「じゃ何で俺の記憶が毎回消されるんだ。おかしいじゃん」
〔松〕「おかしくないです。シャモさんが強い自己暗示に掛かったから、しほりさんのリムジンに乗る事がトリガーになって
〔シ〕「どう言う事だよ」
シャモがじっと松尾を直視した。
〔松〕「僕の仮定ですが、今のシャモさんには『しほりさんのリムジンに乗ると記憶が飛ぶ』強力な自己暗示が入っています。その状態で、『白蛇の
松尾は眼鏡の奥の瞳を、獲物を定めた
〔松〕「それらの断片的な情報を脳は一本の『物語』に統合する。そして『物語』の真実性を高める情報だけを、脳が集めるようになる」
餌さんの軽口を、いつものシャモさんなら気にもしないでしょうにと松尾はため息をついた。
※※※
〔み〕「あんたは本当に
いつの間にか空皿を下げに来たみつるが、呆れたようにシャモを見る。
〔シ〕「夜行バスで九州に行ってくる。
しばらく考え込んでいたシャモは、スマホ片手にすっくと立ちあがった。
〔三〕「何でだよ」
〔シ〕「チャンネル登録者十万人超えの
さっそくシャモはスマホでルート案内を検索し始めた。
〔松〕「火山なら群馬にあるじゃないですか」
〔シ〕「
〔仏〕「認定証を火山に捨てても時は戻らねえ。お
〔シ〕「だったらどうすりゃ良いんだよ」
〔み〕「何バカ言ってんだこのトントンちきが! あんたがたは声がデカいから、店に全部
〔う〕「面白そうな話だから、ちょいと仲間を呼んじまったよ」
※本作はいかなる実在の団体個人とも一切関係の無いフィクションです。
※ヨモツヘグイ 日本神話に出てくる『
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