59-2 逢引
〔米〕「あれ、松田さん」
〔松〕「ああ、どうも先日は」
大人たちの
〔う〕「お知り合いなのかね」
〔米〕「私がみなとみらいの中ホールで
〔三〕「すげえ。住んでる世界が違う」
〔米〕「みんなは松田さんと坊ちゃんのお友達なのね」
〔う〕「そこの色男はスノボのワールドチャンピオンだよ。あと全米チャンピオンだっけか」
〔仏〕「ジュニア部門ですが」
仏像は小さく頭を下げた。
〔米〕「へえ。僕はてんで運動オンチだからな。スノボってのはあのスケートボードみたいな」
〔米〕「兄弟弟子の
〔う〕「
うち身師匠の指摘に、
〔米〕「まあそうかもしれません。ただ、今どきの
〔多〕「色々とご教授くださいましてありがとうございます」
〔米〕「ではまた。松田さん、
頭を下げる松尾に、
※※※
〔多〕「これは僕あてに頂いた名刺だから、いくら大ファンでもやれないぞ」
〔三〕「松田君、名刺もらってない」
〔松〕「まさか。立ち話程度でしたし、もし頂いていたとしても勝手に他の人に上げるなんて絶対にしません」
俺もさん付けで呼ばれてみたい人生だったとぶつぶつ言いながら、
〔多〕「せっかくだから、にぎわい座に行くとするか。外部の方に指導をお願いする時に、最低限の知識が無いと失礼に当たるだろ」
〔三〕「後三時間以上も開演まで間がありますよ。これだけの暑さだから
〔三〕「今日は二つ目さんの後に漫才と上方落語、仲入り後にうち身師匠のウクレレ漫談で主任(トリ)が
三元に声を掛けられた
〔三〕「何でだよ。この間も
〔餌〕「今日はこの後
〔三〕「デートか、
〔餌〕「何とでも言ってください。とにかく今日はこの後ずっと先約ありです」
そう言うと、餌はちらりと手元の腕時計を見た。
※本作はいかなる実在の団体個人とも一切関係の無いフィクションです。
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