50-2 社会復帰できない男たち
〔父〕「頼んだらすぐフォローしてくれた」
〔仏〕「学校の業務連絡SNSを私用に使うんじゃねえ」
〔父〕「違うって。二年前に五郎君が変な集団に狙われているって教えてくれたのは【たーちゃん二十五歳@丸の内OL】だったでしょ。だからそっちのアカウントにDMしたの。たーちゃん先生は商学部、ダディは経済学部。学部違いだけど
〔仏〕「あのネカマ。本当にどうしようもない腐れ縁だよ全く」
〔父〕「そんな事言うとと罰が当たるよ。五郎君はあの頃からたーちゃん先生のお世話になりっぱなしでしょ。今は五郎君の部活の
父の発言に、仏像はピクリと眉を上げた。
〔仏〕「まさか、来る気なの」
〔父〕「もちろんだよ。ようやくまともにダディらしいことが出来るんだもん。五郎君の
余りにうれしそうに話すので、来なくていいとは言えなくなった仏像である。
〔仏〕「で。後の物好きな二人はどんな知り合い」
〔父〕「
仏像の質問に、父はきらきらとした目で身を乗り出した。
〔仏〕「何じゃそら。父さんって投資サークルにいたんじゃないの」
〔父〕「ハゲタカ
その後も嬉々として話し続ける父の『青写真』の余りのゆるふわ具合に、これが伝説のハゲタカの
〈月曜日 部活時〉
〔多〕「さて、次は八月末の試合目指して練習だ」
本当にまだやるのと
〔餌〕「今日は仏像が代休。お父さんがロングバケーションに入ったので家に帰るそうです」
【ざるうどんしこしこ@
〔服〕「
〔餌〕「えっ、服部君って仏像のお父さんに会ったことがあるの」
〔服〕「うちの兄さんが就活で業界研究をしていた時に見つけたインタビュー記事で」
〔天〕「へえ。
パパ活と誤解されて事情を聞かれた
※※※
〔多〕「さあ、では試合の反省も踏まえて。ゴレイロ(GK)からピヴォ(FW)に当てて落とす。この形を徹底的にマスターしよう」
〔シ〕「当てられ方が分かんねえよ。フィクソ(DF)役入ってよ」
服部が敵フィクソ(DF)役になると、シャモがはたいたボールを
〔シ〕「ギブギブっ。松田君、俺が
『
〔多〕「次、
プロレス同好会同士で遠慮もないのか、シャモの時とは比べ物にならない位迫力のある肉弾戦が繰り広げられた。
〔多〕「
〔天〕「高めっすか。うわっ、すっぽ抜けるな」
配置を変えて何通りか試しているうちに、
〔多〕「松田君、ピヴォ(FW)ちょっとやる。やりたいって顔に書いてある」
〔三〕「松田君、大丈夫なの」
〔松〕「コンタクトプレーでなければ大丈夫です」
〔多〕「球離れ早く! いいね」
〔松〕「うわっ、勝手が違いすぎる」
イメージ通りに体が動かずもどかしい思いをしながらも、松尾はボールを受けてははたく。
〔多〕「よし、松田君お疲れ。この後はスローインの練習に移ろう」
〔餌〕「ハンドスプリングスローっ」
〔仏〕「
またしてもハンドスプリングスローをしようとした
〔松〕「
〔餌〕「何それ」
〔下〕「フリップスローがハンドスプリングスローの正式名称っす。あんなの試合でやろうとする人は奇人か変態っす」
〔餌〕「おほめにあずかり光栄です」
最大級の『誉め言葉』に、餌はにんまりと不気味な笑みを浮かべた。
〈練習後〉
〔餌〕「
帰宅路をぞろぞろ歩く一団の話題が元顧問の
〔三〕「そうは言っても、あのポスターは心折れたわ。『
〔松〕「普通の人間どもには計り知れない
〔シ〕「松田君、ちょっと時間ある」
松尾が
※本作はいかなる実在の団体個人とも一切関係の無いフィクションです。
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