50 ざるうどんしこしこ@日吉大経済卒
父・
~~~仏像の夢~~~
〔父〕『五郎君。ダディ特製のフレンチトーストだお』
〔仏〕『熱っ』
仏像があわてて飛び起きようとすると――。
〔?〕『ごおーにーたーん(ゴー兄ちゃん)♡』
〔仏〕『ぐへえはああっ』
仏像は寝ぼけたままベッドの上でもんどりを打つ。
〔?〕『あらあら松尾ちゃんったらまた五郎君に抱き着いて』
〔父〕『こうして一緒に寝ていると本当に兄弟みたいだね。僕ら思い切って一緒になって本当に良かった。群馬に来て、僕の人生は素晴らしく変わったよ。これもすべてハニーのおかげだ』
〔?〕『それは私のセリフよ、
〔父〕『そうだね。五郎君が四歳、松尾ちゃんが三歳。雪遊びを教えるにはちょうど良い時期だ。
〔?〕『松尾ちゃんもいたずら盛りだから。時には二人きりにしてあげないとお姉ちゃん夫婦も気が休まらないわよ』
~~~仏像 お目覚め~~~
〔仏〕「いやああああああっ!」
今度こそ仏像はベッドから飛び起きようとした。
〔仏〕「ぐへえはああっ。何だこの刻みオレンジを砂糖でどろどろに煮詰めた夢は。断固拒否だ絶対嫌だこれは夢だ、夢であってくれ」
はっきりとしてきた視界に映るのは、いつもと変わらぬ飾り棚の仏像コレクション。
タオルケットの上には自作の
はあはあと浅い息をついた仏像がスマホに手を伸ばすと、新着メッセージが入っていた。
〔仏〕「【
そして数時間後――。
〔父〕「五郎君ただいま。お留守番
〔仏〕「そもそもずっと午前様か泊りだったろ。何を
仏像は呆れながら父を家に上げた。
〔父〕「これお土産。
〔仏〕「どれだけカモにされてんだ。少しは断るってコマンドを覚えて良いんだぞ」
手品の
〔父〕「えっ、クール便でハムと豚のみそ漬けと鹿のカレーにお漬物と」
〔仏〕「誰が食べるんですかそれを、誰が」
〔父〕「五郎君」
仏像はそんな無茶なと言いつつ、『大分産』とラベルの貼られた大山みやげの
〔仏〕「もうちょっと色々考えてから買い物しようよ。言われるままにホイホイホイホイ。カモになるにもほどがある」
〔父〕「それが良いんだよ。今日だっておそばを頼んだら、お豆腐はいかがですかって言われてね。それでお味噌の乗っかった豆腐を頼んだら、とっても幸せな気分になったんだ。おいしかったああ」
〔仏〕「どうりで旅行のたびにマミーとケンカになったわけか。財布の
〔父〕「だってね五郎君」
仏像の父は、『大分産』とラベルの貼られた大山みやげの
〔父〕「お金を使ったらお店の人が喜んでくれるでしょ。そうしたらとっても幸せであったかい気持ちになるの。ダディがハゲタカ化して一杯稼いだお金で、五郎君がこんなに大きくなったの。ダディは五郎君を見ているだけで、とっても幸せなの」
仏像は猫のようにそっぽを向くと、黙って土産物を片付け始めた。
〔父〕「ねえねえ、これ見て。ダディの新たなる第一歩。本当に
土産物袋をたたむ仏像に父が見せてきたのは、フォロワー数三名のSNSアカウント。
〔仏〕「【ざるうどんしこしこ@
〔父〕「どこが怪しいの。どこが
〔仏〕「全部だ全部。フォロワーが少ない今のうちに全部作り直した方が良い。そもそもこんな怪しいアカウントに三人もフォロワーがいるなんて。そいつら絶対フォローバックしちゃダメなやつ」
〔父〕「そんな事ないって。ほら全員知り合いだもん」
〔仏〕「何で【たーちゃん@二十五歳丸の内OL】と相互フォローしてんだよ!」
※本作はいかなる実在の団体個人とも一切関係の無いフィクションです。
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