48 昼下がりの坊主
〈味の芝浜〉
店の日めくりカレンダーは、やはり日曜日を指している。
〔み〕「ありゃ、いがぐり頭で気が付かなかったよ。時坊はたろちゃん(餌)の誘いで
〔シ〕「家の用で
言いながらシャモはみつるにお守りを差し出す。
〔み〕「こりゃ一体どう言う風の吹きまわしだい。
〔シ〕「日替わりをお願いします」
〔み〕「ハムカツとアジフライね。キャベツをてんこ盛りにしてやるから、ちょっと待ってな」
昼食ピークが終わってがらんとした店でシャモがぼんやりとテレビを見ていると、がらりと扉が開いた。
〔歌〕「
〔シ〕「勘弁してください。あの後散々だったんですから」
〔う〕「あれ珍しい。若旦那一人でご来店とはね。頭を丸めてついに
〔み〕「夏に
〔う〕「
〔シ〕「ええ、まあ」
シャモは
〔う〕「
〔う〕「旅芸人が大山で白蛇の子蛇を助けたら、それが見事な
〔み〕「そりゃ松の内(正月期間)に良さそうな
日替わり定食を運んできたみつるがうなずいている。
〔う〕「白蛇の子蛇恩を忘れずで、これがもう初々しいのいじらしいのって。」
シャモは両目を右に泳がせてうち身師匠の言葉を聞いていると、不意に強風が店ののれんを強く揺らし始めた。
〔み〕「
〔歌〕「
〔シ〕「手伝います」
みつるの代わりにシャモがのれんと
〔う〕「わざわざ悪いね」
みつるの代わりに天ぷら定食と肉豆腐を運んできた板さんに礼をすると、うち身師匠は心配そうにテレビを見た。
〔歌〕「ありゃ、こりゃヒドイや。
テレビには
〔シ〕「おいおいあいつら無事なのか」
〔う〕「まさか若様達は
〔シ〕「遊びに行ってるってみつるばあちゃんが」
〔う〕「そりゃ
うち身師匠の声で一階に戻ったみつるはテレビを見て色をなした。
〔み〕「ああどうしよう。八景島で竜巻だってよ。時坊もたろちゃん(餌)もあそこにいるはずなんだよ。
そう言うなり、みつるは髪をばっさりと切り落とした。
〔み〕「バリカンバリカン」
〔シ〕「僕ので良ければあります」
〔う〕「なけなしの毛なんぞ全部
〔歌〕「
※※※
〔餌〕「あれ、臨時休業なのですか」
〔三〕「多分風が強いからのれんを下げただけだよ」
味の
〔み〕「ぎゃーてーぎゃーてーはらぎゃーてー」
〔う〕「なんまんだぶなんまんだぶなんまんだぶ」
〔歌〕「はらえたまへきよえたまへ」
〔シ〕「りんぴょうとうしゃかいじんれつざいぜん」
〔板〕「てんにましますわれらがかみよ」
〔餌〕「どうやらお取込み中のようデスネ」
〔三〕「何じゃこら。ちょっと、ばあちゃん!」
※本作はいかなる実在の団体個人とも一切関係の無いフィクションです。
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