30 下僕と護衛
〈部活時〉
しほりが持たせた|三段重《さんだんじゅう』の代わりに学食のA定食で済ませたシャモは、空き腹を抱えながら着替え用ポップアップテントにやってきた。
〔シ〕「くっそ腹減った。ご飯大盛りにすりゃ良かった」
〔松〕「だから大人しくあの三段重を食べれば良かったのに」
〔三〕「
シャモの代わりに三段重を平らげた松尾と三元がごちそうさまでしたと頭を下げる中、仏像はシャモの二の腕に貼られた
〔下〕「これ本当に
下野が『キリーク』の
〔三〕「まさかこの文字がシャモを操って記憶を飛ばしているとか。そんな『ゆんゆん』愛読者みたいな発想は止めろよな。うちのばあちゃんじゃあるめえし」
頭に使い古しのタオルを巻いた
〔シ〕「帰ってくるはずのない父ちゃんが部屋にいたあの時、しほりちゃんの母親が
七月末に下船予定だった父ちゃんはいきなり会社を辞めるし、とシャモはじっと二の腕の
〔シ〕「
〔仏〕「
〔松〕「こうなったら『最後まで』突っ走りましょう。藤巻家の大旦那への道、序章って感じでしょうか」
〔飛〕「そういえば
〔下〕「あのセクハラシーサーに護衛とか無い無い」
エロカナ軍団にセクハラまがいの仕打ちを受けた
〔仏〕「それがあの獅子舞、学校帰りに横浜駅東口で襲われかけたんだと。マジで警察案件なんだって」
〔下〕「あれ本当の話だったんすか。どんな勇者?! あいつ
〔仏〕「二人組だって。身柄は無事だったんだけど、カバンはひったくられてまだ出てこない」
横浜こえーなと
〔シ〕「
〔長〕「加奈さんの護衛っす」
〔服〕「加奈さんのOKが出たらしいんで」
〔仏〕「えっ、
〔多〕「今日は
〔仏〕「練習試合の代休をここで消化するとさ」
〔多〕「どうしたの。伴君ぽんぽん痛い痛いなの」
〔仏〕「聞いてないのか。
〔多〕「犯人つかまったか。面通し?!」
その言葉に
〔仏〕「違うって。
〔長〕「行きかえり両方の護衛は負担が大きいので、加奈さんに天河君を紹介して帰りの護衛をお願いするそうです」
〔多〕「まあ、そう言う事なら
その言葉と同時にずびしっとA4版の紙を部員に突きつけると、予定空けとけよと
〔松〕「七月頭に八月最終週か」
A4版の紙を渡された松尾が、むむとうなり声を上げる。
〔多〕「今日からはこの二大会優勝を目標に練習するぞっ」
〔仏〕「大会レベルはどうなんだ。俺たち確かに
〔多〕「桂先生の
〔下〕「協会に
〔多〕「ごめんな。理事長のご機嫌さえ損ねなければ二学期からは何とか
〈放課後 横浜駅中央改札〉
パンダのリュックを背負った
〔天〕「よりにもよってこんなターミナル駅で待ち合わせって、その方が危ないよ」
親子にしか見えない二人は揃いの制服に身を通し、
〔加〕「マジごめん。
〔天〕「
ブルドーザーのように人波を押しのける勢いで走って来た加奈がしゃがみ込んで、自慢の両胸を腕で寄せながら
〔餌〕「そのアングルは反則っ。わざとやってるでしょ」
〔天〕「加奈さん、横浜駅待ち合わせは人が多すぎて逆に危ないと思うんです。毎日とは行きませんが、必要な時には学校の最寄り駅まで迎えに行きますから」
顔を真っ赤にしたままつぶやいた天河に、加奈がぎょっとした顔をした。
〔加〕「それは困るって。学校の知り合いに
〔天〕「それもそうっすね。ではとりあえずここでパンダ君の代わりにお待ちします」
〔餌〕「よっしゃー。これで僕は時間の無駄遣いから解放されるっ」
その言葉に、加奈の
〔加〕「だから、パンダは勉強机に発情してろって言ったろ。うちは今後のスケジュールについて今から
〔天〕「午後八時半までに自宅に戻りたいっす。それから、
〔加〕「OK交渉成立。じゃな、くされパンダ」
※本作はいかなる実在の団体個人とも一切関係の無いフィクションです。
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