16 初練習試合、決定。
〔多〕「
松尾の家出騒動翌日。
グラウンドに集まった部員と助っ人に向けて、往年のクロアチア代表ユニを着た
〔仏〕「それ完全なるお遊びじゃん」
〔多〕「それが結構バカにできないらしいよ」
〔餌〕「『
〔多〕「うん。
〔松〕「むうっ、
ミネラルウォータ―を飲みながら松尾が首を回した。
〔餌〕「友達を見学で連れてきても大丈夫ですか」
〔多〕「良いけど」
〔餌〕「
〔三〕「女の子っていくつぐらいの。幼女とか老女なんてサゲ(オチ)は認めねえ」
〔餌〕「大丈夫ですって。高三中心ですから」
〔三〕「仏像が合コンに協力してくれなくなったと思ったら、超意外な所から助け船が」
三元が
〔多〕「先生の耳に余計な情報を吹き込むのは止めろ。普通の友達づき合いだよな。そう言う事にしてくれ」
〔餌〕「大丈夫です。ターゲットはシャモさんなんで」
〔シ〕「ターゲットって何だよ。何が大丈夫なんだ」
※※※
〔多〕「早速練習試合に向けてミニゲームをやるか。黄ビブスチームはキャプテン
仏像はゆるいウェーブのついたセミロングの髪をヘアバンドで抑えると、
【黄色ビブスチーム:ピヴォ(FW)松尾/右アラ(MF)飛島/左アラ(MF)
【ピンクビブスチーム:ピヴォ(FW)シャモ/右アラ(MF)餌/左アラ(MF)
〔シ〕「松田君、大丈夫なの」
〔多〕「数合わせで良いぞ。頑張るな。本当にマズイなら
〔三〕「違う意味で『不動の』ゴレイロ(GK)で良いならやりますが」
〔仏〕「そりゃ
〔松〕「大丈夫です」
また一回り横幅の大きくなった
ビーチサッカーのピッチサイズに合わせてグラウンドに目印を立てると、ショッキングピンクと蛍光イエローのビブスを着こんだ一団がそれぞれのポジションに散らばる。
〔多〕「いいか黄色共!」
グラウンドサッカー用のボールを小脇に抱えると、
〔仏〕「黄色はアンタ。しっかりしろ」
〔多〕「あっ。ピンク共、松田君に怪我をさせたらどうなるか覚悟はあるよな」
〔シ〕「ずるいぞっ。松田君のマークを甘くさせる心理作戦に掛かってたまるか。松田松尾君っ。君は今まで落研唯一の新入生として
〔松〕「ビーチサッカーで密着プレスは、ただの
〔下〕「フィールドに四人しかいないっすからね」
〔シ〕「むうっ。そこの一年コンビ徹底的に潰す」
〔下〕「俺ピンクっ。シャモさんと同チームっすよー落ち着いて」
先だって餌が言い放った不穏な一言のせいなのか、シャモはエキサイト気味である。
※※※
〔松〕「ここまでボールが来ない」
〔服〕「
ピヴォ(FW)のシャモとフィクソ(DF)の仏像が激しくやり合う一方、ピヴォ(FW)の松尾とフィクソ(DF)の服部は至ってのんびりゴール前にたたずんでいた。
〔松〕「一刻も早くサッカー部の練習を再開しないと」
〔服〕「こんな低レベルな所で助っ人やらせるような子じゃないよねってうわっ」
オーバーヘッドでクリアした仏像のボールが、服部の肩に当たってそのままゴールした。
〔多〕「オウンゴールかよー」
〔シ〕「もう終わったの」
〔飛〕「僕何にも出来なかったです」
〔餌〕「
〔仏〕「それもだがシャモのシュートが絶望的に入らなさすぎて笑った」
〔シ〕「防戦一方だったくせに」
〔仏〕「
〔下〕「完封された上に、オウンゴールで敗北って中々無いっすね」
仏像はシャモの言を鼻で笑った。
※※※
ミニゲームを終えて各人が水分補給をしていると、仏像がつと真顔になった。
〔仏〕「練習試合って言ってもさ。公式戦に出るとなれば、協会に入っていないと門前払いを食うはずだが。チーム名は『草サッカー同好会』で登録するの。絶対他チームとかぶる」
〔多〕「頭に『
〔三〕「ビーチサッカーの大会に出るのに『
〔多〕「それで出場試合についてだが、今年はオープン戦だけに出る。来シーズン以降も本格的に続けたい部員が多いなら、その時に
〔仏〕「多分その前に
〔シ〕「俺は三万草コイン」
〔餌〕「僕は庭の青コケ三パック、末端価格約三千円を賭けます」
※本作はいかなる実在の団体個人とも一切関係の無いフィクションです。
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