14 奴の名はエロカナ。僕の彼女では断じてない。
〔仏〕「
プロレス同好会の三名が【みのちゃんねる】の
〔餌〕「小学校の先輩に呼び出し食らった。彼女じゃ無いから誤解の無いように」
餌は暗い表情で肩を落とすと湾岸方面に歩き始める。
〔仏〕「ついに餌に彼女が出来るって」
〔餌〕「違う。断じて違う。エロカナだけは無いわ。僕を超えるエロ魔人で、僕にエロ無駄知識を教えた張本人と会うの」
〔仏〕「おいおい。お前のエロ無駄知識の仕入れ先って先輩女子なの」
〔餌〕「保健体育のとある項目だけ満点な女。ろくなもんじゃない」
だらだら話しつつ某巨大商業施設にたどりつくと、入り口で
〔餌〕「加奈先輩お久しぶりです」
〔加〕「うっすパンダご苦労」
偉そうにふんぞり返った加奈は、後ろの二人を見てころりと態度を変えた。
〔加〕「あれ、お友達が一緒なんですか。もしかしてゴー様っ。えーメチャクチャ大ファンですっ握手してくださいっ」
〔仏〕「僕もう一般人なんで。済みません」
仏像は加奈に目を合わせる事も無く、公園方面へと歩き去った。
〔加〕「ちょっとウチ何も聞いてないんだけど! 何でゴー様とくされパンダが一緒にいるんだよ」
松尾と共に去る仏像を見ながら、加奈は餌に詰め寄った。
〔餌〕「部活が一緒なんです」
〔加〕「落研だっけ。何でゴー様がそんなところに」
〔餌〕「色々あって、人目に付かない場所に逃げたくなったらしくて。それで、用事って何ですか」
〔加〕「六階行きたい。その前に腹減った」
手芸店の荷物持ち要員だと知って、餌は来るんじゃなかったとため息をついた。
〔餌〕「一階のバーガーセットで良いですか」
〔加〕「そんなのどこにでもにあるだろ。だから彼女いないまま無駄に年だけ食っていくんだよ」
〔餌〕「金を掛ける相手は選びます」
〔加〕「超失敬な」
いつもと変わらぬ会話を交わしながら二人が向かう先は、運河に面した公園である。
〔餌〕「ここで良いですか」
四人掛けのテーブルに腰を下すと、餌はシェイクをずずずっと吸った。
〔加〕「隣にいるのがくされパンダじゃなくってゴー様だったら。あれゴー様いたっぎゃーカッコいい。ねえあの隣の眼鏡の子ってゴー様の彼氏、彼女、それとも両方。 距離近いって超
〔餌〕「悪い事は言いませんから、三次元を
貨物列車をながめる仏像と松尾の後ろ姿を見ながら、餌はポテトをつまむ。
〔餌〕「食べたらとっとと六階に移動しますよ。さっさと食べてください」
〔加〕「いーやー。ゴー様を
〔餌〕「相変わらず
餌は引き顔を隠す事も無く加奈を見た。
〔加〕「ネット通販って家にいなきゃダメじゃん」
〔餌〕「僕を呼び出したって事は、そこそこ大物ですよね」
〔加〕「うん。マーチングバンド用のフェルトにめくり材料を買いたいんだけど。パンダってみのちゃんの後輩だよね」
思いもよらない名前が加奈の口から出て、餌は思わずポテトを詰まらせそうになった。
〔加〕「ウチこの前【みのちゃんねる】の企画でみのちゃんとその友達とビーチサッカーやってきたんだけど」
〔餌〕「そう言えば、プロレス同好会と一緒にビーチサッカー回を収録したらしいですね」
〔加〕「結構倍率高かったんだけど、根性で抽選に当たったんだよね」
〔餌〕「【みのちゃんねる】にそんなプレミアがあるとは、僕は断じて認めない」
シャモさんの分際で、とぶつくさ言いつつ餌はシェークをずずずとすすった。
※※※
一方こちらは【
〔シ〕「【みのちゃんねる】のビーチサッカー回の
~~~
〔シ〕『みのちゃんねるでーす! 今日は緊急企画と致しまして泥んこビーチサッカー会をお送りしまーす!! 本日のスペシャルゲストはプロレスを愛し愛された三名様っ。どうぞ』
〔シ〕『今回のミッションはずばり【女性との会話に慣れる】。何と本企画への応募リプライは百八十件! それでは早速お三方に、運命の五名様を選んでいただきましょう』
〔服〕『この子タイプなのに』
〔天〕『駄目。同じプロフ写真の別アカウントを、俺は少なくとも五か所で見た』
〔シ〕『真剣ですねえ。え、一人目決まったの』
〔シ〕『お一人目は【あさぎちゃん】でーす。では続いて二人目。おっ、早い。【しーちゃん@横浜マーリンズ優勝祈願】』
〔服〕『俺はこちらのアカウント。【可愛ちーず@レーズン級】。レーズン級の五文字に打ちぬかれました』
〔シ〕『何やら
〈好きな食べ物:レーズン・
〔シ〕『【
事あるごとにみのちゃんねるに
〔シ〕『この人。絶対この人!』
『逆張りのシャモ』の二つ名を持つほどシャモの直観は裏をかくことで有名なのだが、付き合いの浅いプロレス同好会は哀しいかなその事実を知らない。
〔服〕『普通の女の子にちょっと鉄分が入った感じが良いっすね』
〔シ〕『ホウボウとロマンスカーをこよなく
〔シ〕『あ、この人なんてどう。【
〔服〕『腐女子高生ですか。うわどうでしょこれ」
〔天〕『高校生!? ありっ。ありありっ!」
~~~
〔三〕「これ結構な大型企画になったよな」
〔シ〕「そう。色々な意味で疲れたわ。内容も画もかなりインパクトがあるから前後半に分けてアップするつもり。この回は結構反響が来ると思うんだよな」
シャモは疲れた疲れたと言う割に、充実感に満ちた顔である。
〔三〕「今週上げるの」
〔シ〕「いや、先にコラボ分のアップがあるから。あの美容外科のやつ」
〔三〕「あれか、
〔シ〕「コラボ分はコラボ相手の意向があるからいくら
※本作はいかなる実在の団体個人とも一切関係の無いフィクションです。
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