73 昭和のヤンキー 昭和のラブコメ
〔樫〕「おはようございます『草サッカー同好会』の皆様」
会場についた仏像とシャモを出迎えたのは意外な顔であった。
〔シ〕「何だよその改造特攻服。昭和のヤンキーか」
集合場所でぶらぶらする
いつも樫村と共にいる二人の応援部員は、影のように付き従っている。
〔仏〕「あれ、どうしたの。
〔樫〕「本日は皆様にご恩返しをすべく参りました。誠心誠意エールを送らせていただきます」
昭和のヤンキールックに似つかわしくない態度で
〔樫〕「それでは、
盛夏用応援服(袖なし白特攻服)で隊列を組んだ三人は、会場にたむろする出場者たちを振り向かせる大声を上げた。
〔樫〕「
背のひょろ高い応援部員が手持ちの
〔樫〕「ゲットゴールだ 落研ファイブっううううう」
〔応〕「ゲットゴールだ 落研ファイブっううううう」
〔応・樫〕「ゲット・ゲット・ゴールっ。ゲット・ゲット・ゴールっ」
その様を、放送部長の
〔多〕「本日は応援部が助っ人として控えに入る」
〔シ〕「
〔青〕「例の『地域の皆さんと力を合わせて荒れ地再生』をメインに
そんな事だろうと思ったと、仏像がふっと笑った。
〔三〕「おっさんみたいな応援部どもを舐め撮りしてどうする気だよ。グラビアじゃねえんだぞ」
〔餌〕「なめ
〔青〕「ローアングル
〔多〕「では改めて。Morning! 素晴らしいビーチサッカー
仏像の胸中そのままに分厚く垂れこめた灰色の雲の下、赤いうどん粉病Tシャツに身を包んだ一同は輪になって
〔多〕「今日のキャプテンマークは、服部が巻いてくれ」
一瞬驚いた顔をした服部であったが、全員が納得の表情でうなずくと服部はキャプテンマークを受け取った。
〔多〕「
〔多〕「今から提出するメンバー表以外のメンバーは、ベンチでの観戦は不可。競技関係者席での観戦となる。
〔三〕「むしろありがたい。ゆっくり観戦席からカメラを回しますよ」
〔飛〕「僕も外れた方が」
〔多〕「いや、飛島君は
陸上部の駅伝メンバーに入っていると知った
〔多〕「井上。今井。まだルールの理解もおぼつかないからスタメンにはしないが、勝ち進んでいけば出す局面もあるだろう。残ってくれ。それから応援部、頼んだぞ」
〔多〕「とにかく元気で完全燃焼しよう。『落研ファイブっ』第一期の締めくくりにして、新生『落研ファイブっ』の
〔三〕「えっ、メーク無しで撮るの」
【
〔うい〕「れんちゃん! れんちゃん! れんちゃんの夢が叶ったら!」
『落研ファイブっ』の初戦相手は、
第一試合の相手を聞いた
〔大〕「お手柔らかにお願いします。それから、
『かしわ台コケッコー』のキャプテン・
〔多〕「まさか君達と当たるとはね。それから君が
〔大〕「うちのメンバーに熱狂的な『ゴー君』ファンがおりまして。この蒸し暑さですし、接触プレーなんてしたら熱中症になる前に出血多量で倒れかねないと言いますか」
〔多〕「昭和のラブコメじゃないんだから」
〔大〕「笑い事じゃないんですって」
※本作はいかなる実在の団体個人とも一切関係の無いフィクションです。
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