68 無職輪廻――外資系スーパーエリート(以下略)
試合本番まで後一日。
〔父〕「五郎君お帰り。明日は五郎君の大切な試合でしょ。試合と言ったらトンカツ。敵に勝つってね」
試合のゲン担ぎのために、仏像の父はレシピサイトを参考にしながらトンカツを準備している。
朝四時のフレンチトーストはさすがに控えるようになったものの、仏像の父は基本的にスーパーハイテンションなピーマン研究会モードのままだ。
〔仏〕「あのなあ父さん。試合の前は食事制限があるの」
外資系金融機関のCIO(最高投資責任者)から自宅警備員に転職した父がせっせと準備したトンカツ。
それは試合に向けて食事制限を始めていた仏像の計画をぶち壊す、
〔仏〕「俺のトンカツは明日の夕食にするから。父さんはトンカツ食べていいから。そこどいて。俺が揚げるよ」
〔父〕「だって試合に勝つんだよ。カツだよ」
悲しそうな目でエプロンを外す父に、仏像は罪悪感でいっぱいになってきた。
〔仏〕「お願いだから【アスリート 食事 サッカー】で検索を掛けて記事を読んでくれないかな」
父はスマホをひょいと取り出したが――。
〔仏〕「何じゃそらーっ」
父のスマホ画面が大変な事になっていた。
※※※
〔シ〕「【
店のパソコンデスク前に座ったシャモの目に飛び込んで来た、長文タイトルと見覚えのある作者名。
ざるうどんしこしこの正体を知るシャモは、震える手でコメント欄をクリックすると――。
【
〔シ〕「仏像のオヤジは何を目指そうとしてんだよ。ロングバケーション中にやる事は他にあるんじゃねえのか」
自分の親でも無いのにシャモがのたうち回っていると、スーパーから大量のまいう棒とずんだ棒を買い込んで来たシャモの父親が、
〔シャモ父〕「このくっそ暑いのに俺にお使いをさせやがって。ほらよ、まいう棒とずんだ棒、ご希望通り特売価格で買ってきたから」
エアコンの効いた二階で昼寝を決め込むシャモの母を大声で呼ばわると――。
〔シャモ母〕「アプリクーポンはちゃんと使ったんだろうな。
ご苦労さんと言いながらまいう棒とずんだ棒を両手に持ったシャモの母は、パソコンをひょいと
※本作はいかなる実在の団体個人とも一切関係の無いフィクションです。
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