58 緊急会議
松尾の
総仕上げの練習試合を落とした『落研ファイブっ』は、肩を落としながら食堂へと向かった。
〔飛〕「
飛島がおずおずと仏像にたずねた。
〔仏〕「落研の二学期以降の運営方針の話し合いだぞ。下手に巻き込まれに行くことはない。転部するなら話は別だが」
〔飛〕「活動に参加するうちに、松田君が留学した後に一年生が誰もいないのもどうかと思うようになってきて」
〔仏〕「その活動だがな。服部はプロレス同好会をやめて『落研ファイブっ』を体育会系部活に大変身させるつもりだ。もしそうなったら、ピアノを続けながら参加できるような環境じゃなくなるぞ」
飛島はしばらくうつむいた。
〔飛〕「分かりました。皆さんの話し合いに
〔仏〕「それが正解だ。とりあえず八月最終週の試合までは現行のグダグダ路線だから、安心してくれ」
仏像は飛島の肩を軽くたたいた。
※※※
開店前の『味の芝浜』座敷席に、常になく難しい顔をした『落研ファイブっ』メンバーと服部の顔が並んだ。
〔三〕「俺たち三年は、二学期以降の活動方針については口出しする権利がない」
〔三〕「ただし、餌や仏像の言うように、落研部門を存続させたければ部活動指導員を外部から招くしかないだろう」
〔シ〕「今まで通りのぬるいアホ部活のスタンスを守りたいってのが
金に鼻の利くシャモは、
〔服〕「いっそ
〔多〕「あんな辞め方をした上に好きなとこだけつまみ食いなら、教師連中が黙っちゃない」
〔シ〕「ですよね」
元
〔シ〕「それで服部君。肝心の部員の当てはあるの。
〔服〕「
あのプロレス馬鹿一代どもがまさかとシャモは肩をそびやかす。
〔服〕「マットが砂に代わるだけだから任せろって。後は他部活でレギュラーを取れないやつらを大募集しようかと。野球部のスタンド応援とか」
〔仏〕「『お前らどう頑張ってもレギュラーになれないから』なんて面と向かっていえるのか」
人としてどうかと思うぞと、仏像は若干引き気味である。
〔服〕「ビーチサッカーでレギュラーになって、大会で活躍すればスクールカースト大逆転だよ」
〔シ〕「ふわっふわした話だな。確かな数字と説得材料を持って来るのが先だろ」
〔多〕「少なくとも七月は二回戦まで進んだ。八月の大会でベスト四に入れば、説得材料になるんじゃないか」
〔シ〕「そもそも、俺たちがビーチサッカー活動を出来るのは松田君がいるからなんだぞ。松田君が留学したら、
がっしりした体を服部が小さくすぼめていると、がらりと扉の開く音がした。
〔み〕「もうすぐ開店するからちょいとお待ちになって。あれ、群馬の
店先から響くみつるの声で、シャモの追求が一旦収まった。
※本作はいかなる実在の団体個人とも一切関係の無いフィクションです。
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