39 来たれかしわ台コケッコー
〔うい〕「仏像君!」
三元達と二階の観覧席に向かう仏像の後ろから、ういの声が響いた。
〔仏〕「仏像って俺の事ですか」
〔うい〕「
言うなり、ういは仏像に一枚のチラシを差し出した。
【かしわ台コケッコー 新入部員大募集(他大生男女可)活動場所;
〔仏〕「えええええっ。大学生なんですか」
ういから差し出されたビラに、仏像は思わず叫び声を上げた。
〔かC〕「大学生に見えんでしょ。ういとデート中に何回職質食らった事か」
〔仏〕「多良橋先生と面識はありますか」
〔かC〕「日本史だったから桑原先生なら分かるんだけど、
〔仏〕「俺たちこれから弁当食べるんで、良かったらちょっと顔出しませんか」
〔うい〕「荷物」
それだけ言うと、ういは中学生にしか見えない小柄な体を跳ねさせて二階へと駆けて行った。
〔松〕「ああ言う女の人、タイプですか」
〔仏〕「いや全然。て言うか彼氏の前でそんな事聞く普通」
〔かC〕「だよね。この子面白いね」
〔松〕「そうだった済みませんっ」
松尾は擬音語が付くぐらい焦りながら謝った。
〔かC〕「大丈夫よん。ういと俺は運命だから、例え
〔松〕「そんな事を言える男になってみたい」
松尾はうらやましいと言いながら階段を登った。
※※※
〔三〕「あれ、男連れで戻ってきやがった。目の保養達どこやった」
〔飛〕「保護者の前で良くもまあ」
呆れながら三元を見やる飛島と麺棒に構う事も無く、三元は落胆を露わにした。
〔三父〕「それでは僕らはこの辺で」
空いた弁当箱を回収した三元の父が苦笑しながら告げた。
〔三母〕「あまり恥ずかしい事ばっかり言うんじゃないよ」
居たたまれないと言わんばかりに、三元の母が立ち上がった。
〔仏〕「お隣さんにうちのOBがいたんだけど」
〔かC〕「二年前に卒業した
〔多〕「あれ、見た事あると思ったよ。日吉大の理工だよね」
〔大〕「はい。良く覚えてますね。多良橋先生とは直接かかわらなかったはずなのにすごいな」
〔多〕「先生のデータベースをなめちゃダメよ。で、女子大生軍団と一緒に青春エンジョイ勢か。良いね良いね」
〔仏〕「言ってることがまるでオッサンだ」
〔松〕「事実ですから」
松尾がぼそりと突っ込んでいると、ういが大和の元にやってきた。
〔うい〕「うちの双子の妹のれんちゃんら。仏像君、えっとゴー君の直属の先輩ら。さあれんちゃん、ゴー君を勧誘すっだら。ゴー君の事、中学の時から大好きら」
〔れん〕「ちょっとういちゃん」
れんと呼ばれた黒髪セミロングの女子大生が、ういに背中を押されて仏像の前に押し出された。
〔れん〕「えっと、あの。うちは
れんは真っ赤になりながらチラシを仏像に差し出した。
〔仏〕「さっきチラシもらったんですけど」
〔松〕「余計な事言わずにもらっとく」
声を
〔餌〕「
〔う〕「三元君から聞いたずら。うちはインカレだから、どこの大学に行ってても大歓迎ずら」
〔大〕「えっと、俺とこいつが日吉大。この双子は両方本郷大。それからこっちの子は
〔天〕「まるで似てない」
〔うい〕「
配られたチラシに目を通していた
〔三〕「それはそうと、そちらの西里大のお嬢さんの名前まだ聞いてないんですが。後で言うって言われたままお預けなんだけど」
〔飛〕「聞いたんですかその顔で」
〔服〕「そしてお預けを食らったのにまだ食い下がる」
〔長〕「合コンとナンパには命かけるって噂は本物――」
〔跡〕「
いきなり叫ぶと、
〔うい〕「名前が
〔大〕「俺ら八月最終週の試合にも出ますんで、暇だったら見に来てください」
気まずい雰囲気を断ち切るように、
※本作はいかなる実在の団体個人とも一切関係の無いフィクションです。
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