26-1 奥座敷オールドベアーズ戦(上)
〔青〕「
練習試合を締めくくる『落研ファイブっ』VS『奥座敷オールドベアーズ』戦を前に、放送部長の青柳がピッチ脇に陣取って実況を始めた。
押しの強い彼らしく、ちゃっかりと解説役も用意している。
〔青〕「実況は私
〔本/大〕「ワイルドでムンムンなお兄さんたちが、ねっとりと解説してやんよ」
笹かまぼこ柄のワンポイントをあしらったユニフォームに身を包んだ、力士体形の二人。
投げキッスが妙に様になる。
〔三〕「あれ、青柳部長撮影は」
〔青〕「本職さんだって言うから任せちゃいました」
青柳は一枚の名刺を三元に見せた。
〔三〕「HDL第二制作局プロデューサー
やたら陽気な富士川Pは、金髪キノコヘアでピッチサイドをうろついている。
〔青〕「現在キックオフから五分になる所。ここで『落研ファイブっ』にPKのチャンスが訪れました。キッカーは背番号四番ピヴォ(FW)
仏像は慎重に盛り土を作ってボールを固定させる。
〔本〕「この盛り土を作る作業が、PKを成功させる肝なんだね」
〔大〕「第一審判が手振りで示したゾーン内には、相手のキーパー以外は立ち入れない」
〔青〕「さあ
〔多〕「
仏像のボールはゴールバーを叩いて跳ね返された。
〔青〕「ここから『奥座敷オールドベアーズ』ゴレイロ(GK)の
〔多〕「
〔青〕「『
〔大〕「いやあ七十歳と七十七歳のプレーとは。ちょっと信じられないね」
大神が苦笑いしつつ手を叩く。
※※※
〔青〕「一点のビハインドを追う『落研ファイブっ』。右アラ(MF)飛島と左アラ(MF)火消しの喜六こと
明らかに穴となっている飛島だったが、勝負を投げ出すことは無く何度も何度も喜六の足技に食らいつく。
その様を食い入るように見る飛島の両親は、感極まったのか目を赤く染めていた。
※※※
〔青〕「あーっとここで火消しの喜六のチャージがファウル判定にっ。右アラ(MF)飛島がフリーキックを得ました。じっくりと砂山を作ります」
飛島の両親が祈るように飛島を見つめる中、飛島は小さな体いっぱいに大きく息を吸って、右足を振りぬいた。
〔青〕「飛島が蹴り上げたボールを、トラック野郎の
七十歳をとうに過ぎたとは思えない
〔青〕「
バーにはじかれたこぼれ球にむかって
〔青〕「きたあああああっ! こぼれ球を『落研ファイブっ』左アラ(MF)
〔三〕「あいつのあだ名って
〈第一ピリオド終了〉
〔青〕「ここで長い笛。第一ピリオド終了時点で一対一の好ゲームとなりました。ここから三分間のインターバルを経て第二ピリオドとなるわけですが。解説の
青柳はプロアナウンサーも真っ青の名調子で、本日初対面の二人に
〔大〕「『奥座敷オールドベアーズ』に『落研ファイブっ』が勝利するとしたら、彼らの疲労を突くのがカギだね。彼らはここまでメンバー交代を一切していない。特に左アラ(MF)の
〔本〕「一気に突き放して行きたい『
〔青〕「『
応援部部長の
※本作はいかなる実在の団体個人とも一切関係の無いフィクションです。
※JFAのビーチサッカー競技規則2021/2022を参考にいたしました。
https://www.jfa.jp/laws/beach/2021_22/
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