12‐1 放送部長・青柳真中
〔下〕「まっつんおはよー」
一年七組朝HR前。
相変わらず脳天気そうな
〔松〕「レモンセーキ懐かしい」
〔下〕「レモンセーキって
〔松〕「ページヤで売ってたよ」
〔下〕「へえそうなんだ。でねでね、コレまっつんに上げようと思って持ってきたんよ」
〔下〕「ビーチサッカー特集ページの切り抜き。ルールの説明から練習場に競技場の紹介、代表の年間スケジュールにルールブックに戦術説明とか色々あるんよ。使って」
〔松〕「ありがとう。
松尾は助かったと言いながら、A4版のファイルを押し頂いた。
〔下〕「
〔松〕「ごめん、良く分からない」
〔下〕「最近の若い人はサッカー離れしとるらしいもんなあ」
〔松〕「若い人って。僕らクラスメイトでしょ」
呆れたように松尾が
〔下〕「うちは父さんが海外サッカーに超ハマっとるからレプリカユニがごろごろある家で育ったんよ」
〔松〕「
〔下〕「多分。
〔松〕「そうか。出生前から
〔下〕「そう言うけどな、横浜マーリンズのユースに上がれんかったんよ。サッカー部は
〔松〕「まだ体だってこれからもっと大きくなるし、きっと大丈夫だよ。ねえねえ、サッカー部が
〔下〕「でも俺落語出来んのよ」
松尾の提案に、
〔松〕「僕だって落語は全然分からないもん。大丈夫だよ。体は動かせるし、ボールもちょっとサイズが違うけど触れるよ」
〔下〕「月・水・金が活動日だっけ」
〔松〕「うん。だから気が向いたら明日顔を出して。僕に声かけてくれれば連れていくから」
〔下〕「分かった。考えてみる」
〈昼休み 視聴覚室にて〉
〔青〕「やあやあこれはこれは。草サッカー同好会のたった一人の新入生、
〔松〕「いや、全く。付け加えますと草サッカー同好会ではなく落語研究会です」
松尾は
〔青〕「つれないねえ。飛島君を助っ人に引っ張り出すつもりなら、君も放送部に
〔松〕「GW合宿時の記録映像を拝見したいのですが」
青柳に取り合わず
〔青〕「ただいま
〔松〕「練習風景だけで構いませんので」
〔青〕「あ、えっと、その、来週でも良い」
あからさまにしどろもどろな受け答えに松尾が
〔樫〕「部長、祖父から部長にこのDVDを渡すようにと」
〔青〕「何と熊五郎さんから! しかもこれは伝説のヒグマ戦! これはお宝だなあ」
応援部の部長である
〔樫〕「ん、あなたは草サッカー同好会の『
いつの間にそんなあだ名がついたのかと
〔樫〕「合宿に来られなくて残念でした。何とも濃密で意義深い一日でしたよ」
〔松〕「僕も出来る事なら参加したかったのですが。
細い体に似合わぬ雄たけびと実況のシャドーイングを繰り返す
〔樫〕「
〔松〕「どう言う事ですか。おじいさま。熊五郎さん」
松尾は困惑しきりに
〔樫〕「ええ、よろしければ学食で昼食を取りながらその辺りの話しでも」
早口で何度も実況のシャドーイングを行う
※本作はいかなる実在の団体個人とも一切関係の無いフィクションです。
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