相続時、争続でメンタルを壊した話

内藤晴人

相続、恐るべし

 三十二の前厄の時だったと思います、急に母方の祖母が他界したのは。

 その前にすでに母を亡くしていた私はメンタルを壊して通院していたのですが、祖母の死に伴う相続争いはそこにトドメを刺してくれる物になりました。

 まず、伯母と叔母は『代襲相続』の制度を知りませんでした。

 その為、両者からはいきなり出てきて何よ、という雰囲気がどことなく感じられました。 

 そして、伯母は祖母と同居していた叔母に祖母の全財産を譲るから、そのつもりでいて欲しい、と一方的に言われました。

 そこでブチ切れたのが父親でした。

 父親が言うには、母親も生前、祖母のために多少なりともしていたことがある。

 それを勘案してくれないのはおかしいから、それなりの現金をもらってしかるべきだ、と主張しました。

 私が住んでいる土地は元々祖母と母の共有名義で、母が他界した時に父親が相続しました。

 今回祖母の持ち分を私が相続する形になった訳ですが、それだと相続税はこちらから持ち出しになってしまう、というのもあったからかもしれません。

 メンタルを壊していた私にとって、重大な決断はタブーでしたが、否応なく周囲は混乱していきました。

 結果、板挟みになった私は、処方されていた薬を大量摂取し、救急搬送されました。

 私さえいなくなれば、この争いは解決すると思ったからです。

(ちょっと考えれば余計ややこしくなるのはわかるんですが、やはりまともな判断ができなかったんでしょうね)

 結局父親が折れ、また私宛と思しきメモ書きがされた預金証書が出てきたこともあり、軟着陸という形で解決しました。

(余談ですが、申告後追徴課税されました。その分は私はノータッチの預金の出し入れに関するものだったので、払わずに済みました)

 ですが、親戚間にわだかまりは残っています。

 父親はまだ何となく釈然としないものを感じているっぽいですし、私も若干不信感を覚えました。

 何より、私のメンタルは壊れたままで、まだ治っていません。

 務めることもままならないまま婚期を逃し、このまま行けば孤独死確定です。

 問題となるのは、私の死後です。

 独女小梨な私が死んだあと、どうなってしまうんだろう、と若干の不安があります。

 できれば親戚ではなくて、お世話になった友人に遺産を譲りたい、これが正直な思いです。

 ただ、父親は七人兄弟、母は三人姉妹。

 いとこの数が多いだけに、遺言を残したとしても、同意書とか面倒だろうなあ、と。

 とりあえず土地は自治体に遺贈してしまおうかなあ……。

 

 くだらない話にも関わらず、ここまでご精読ありがとうございました。

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相続時、争続でメンタルを壊した話 内藤晴人 @haruto_naitoh

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