第39話知らない天井改め道場の天井だ

龍がいる

暗闇の中、龍と向かい合っている

目に見えているわけじゃない

暗闇の中、闇に溶けるように龍がいる


手を伸ばせばとどきそうな、でも遥か彼方にいる様な

近くにいるのか、遠くにいるのか


繋がっている

それだけはわかる


闇の中、龍と向かい合っていた





知らない天井だ、、、


嘘です、道場の天井です。

どうやら道場の隅に寝かされているようだ。




…………。

………………。

……………………負けた、か、、、


くやしいな、、、


わかってたけども、まったく歯が立たなかった。

遊ばれてた。

最後は全く見えなかった。

なにをされたかはわかる。

でも全く反応出来なかった。


転生初日でこれかよ。

マジでへこむ。

なんだろうね、転生しても調子に乗るなよってことなのかな?

つらいなぁ、きついなぁ

なによりくやしいなぁ、、、




起き上がろうとするが体全体が痛い。

思わず呻き声が出る。


「ああ、クロエ気が付いたか。

無理に起きなくて良いよ

今は横になって体を休めるんだ。」


目を開けるとミツル姉さんがいた。

あれ、なんでミツル姉さんが?

いや、なんか凄く近い?

あれ?これミツル姉さんに膝枕をされてる⁈


「ヒカルのバカが無茶をしたようだね。

あのバカは今先生とカクとで折檻してくれてるからね。

しかし、あのバカは無茶をする。

後でアサヒと二人でお説教だね。


本当に大変だったねクロエ。

身代わり人形と道場の治癒の結界がなかったら、助からなかったよ。


クロエ、今はゆっくりとお休み。

なにも心配はいらない、ゆっくりと休むんだ。

さあ、目を閉じてゆっくりとお休み。」


ちょっと、身代わり人形と治癒の結界がなかったら助からなかったって、、、、


俺、死んでた?


…あぁ姉さん手が優しく頭を撫でてくる。

手から治癒魔法かな?暖かな魔力が流れてくる。

姉さんの声にも魔力が籠っている。

ゆっくりと休まなきゃ。

そんな気になっていく。

ああ、姉さんのサラサラと流れる黒髪と、宝石の様な真紅の瞳がとても綺麗だな、、、


そんな事を考えながら意識は再び闇に落ちていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る