第38話負けたくない

ムカつく。

たしかに僕は格下でヒカルには歯が立たない。

でも見下されて笑われるのはムカつく。


体勢を立て直す。

追撃は来ていない。

まだこっち見て笑ってやがる。


踏み込んで来た。

さっきまでより早い!

咄嗟にガードする。

重い!

一撃でバランスを崩される。

追撃がくる。

なんとかガードするも、次がきてる。

ガードは間に合わない!

体勢が悪い、回避も無理、なら自分から飛んで衝撃を逃す。

なんとか成功するも、痛い。

早くて重い一撃、ある程度衝撃を逃しても痛い。


大きく飛んで間合いをはずす。


ガードした腕が痛い。

一撃を喰らった脇腹が痛い。

腕は折れてはいないだろうがヒビは入ったな。

脇腹はたぶんアバラが逝ってるな。


痛い、痛い、痛い


心が折れそうになる


ヒカルはまた笑ってる。


痛い、痛い、痛い

それ以上に悔しい


前世ではどんなに笑われも、理不尽な目にあっても耐えるしかなかった。

辛かった

きつかった

なんでってずっと思ってた。

笑われるたびに

理不尽な目にあうたびに

なんでってずっと思ってた。


転生してもまたなのか?

また耐えるしかないのか?


僕は、、、

悔しいんだ


僕は幸せになりたい

そのために転生したんだ


幸せになりたい

幸せになりたいんだ


今度こそ僕は幸せになるんだ


負けたくない

負けたくない

負けたくない


笑われることに

理不尽に

目の前の相手に


負けたくない!!


前に出る。

自分から前に出る。

一歩を踏み出す。

決して負けない。

相手を睨みつける。


ヒカルはちょっと驚いた表情をした後、またニヤリと笑う。

ヒカルの構えが変わる。

すっと重心が下がったと思った瞬間に姿が消えた。


全く見えなかった。


ただ下から「死ぬなよ」と声が聞こえた。


ドンっ


音が先か、衝撃が先か


腹部に衝撃がきて宙に浮いていた。

視線の先には床が見え、自分が宙を舞っているのがわかった。


次の衝撃は背後から。

宙に打ち上げられた僕を追い抜き、空中で無防備な背部にとどめの一撃。


そのまま床に叩きつけられ僕の視界は真っ黒に染まった、、、









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