第20話 同級生の死
学園を卒業して50年後。
あたしは、集めた男女6人を前にして言った「単純なゲームよ」
何をしているのか?主(紅龍様)に生贄を捧げるのだ。
でも普通に殺しただけじゃ面白くな………恐怖が足りない。
だから、今から殺すから逃げのびて見せろと言い、それを追いかけて殺すのだ。
ちなみに獲物はネットの自殺者サイトで見つけた。
集団自殺しませんかと誘いをかけたら集まったこいつらを眠らせて、未開の惑星の深い森に運んだのである。ちなみに、頭上には、似合わないウサ耳と、尻には尻尾を接着剤でくっつけておいてやった。哀れな子ウサギちゃんてね。
事態を認識できてないようだったので、小太りの景気の悪そうな顔をした男を見せしめにモーニングスターで叩き潰してやった。
スイカのように割れた頭部から、ぴゅーっと血が噴き出し続けている。
獲物たちは、悲鳴を上げ、蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。
あたしは、得物をフランベルジュに持ち替え、100まで数えてから、追撃に移る。
制服を着た少女の近くまで来た。フランベルジュをひゅうッと振る。
片足を切り落とした。事態を理解していない顔で、転ぶ少女。
「いっ………ギャアアアア!!」
理解した瞬間、足を抱えたまま、その辺りを転がり回る少女。あ、坂から落ちた。
あたしは坂の上から、少女のお腹に着地。ハイヒールよ、さぞ痛かったでしょう。
「ぐえらげぼっ!?」
まあ、不思議な悲鳴。気絶してないようで良かったわ。
なんでってて?心臓に吸い込まれる
2人目、主(紅龍様)に捧げ物っと。あと4人ね。
そんな感じで、あたしは心底楽しみながら、捧げ物をしていったのだ。
これは、手法こそ違えど、あたしのいつもの娯楽兼お仕事だった。
♦♦♦
どうやって学園にいた時我慢していたのか、分からなくなるほどあたしの殺人衝動は激しいものだった。これって本当にあたしの性格?
悪魔や先輩に聞いてみた。
そしたら、それがフランじゃないか、美点だよ、と言われるばかり。
なので、こっそり妖精さん―――主(紅龍様)の奥方様に聞いてみた。
そうしたら。
「それは、前世のあなたが受けた呪いよ。呪いは厳重に閉じられた空間から発生していて、そこに行くには聖なるものが自分の意志で命を捧げることが必要―――」
「………なに、それ。あたしにはどうしようもないじゃない?症状は進むの?」
「進むと見ていいでしょうね。せめて止める方法がないか研究してあげるわ」
「お願いします。身近な人にまで殺意が向かないうちに………」
ありがとございます、これは身近な人間には相談で谷から………
♦♦♦
学園祭である。あたしと先輩は朝から参加した。
感じた事は、少し学園生の質が落ちてないかな、だ。
特待生は質を維持しているのだが、一般生が本当に一般人みたいなのだ。
殺を学園に行かせるんじゃなかったかな―――少しそう思う。
いまさらだ。あたしはあの後、先輩との間に子供を作っているのだし。
全員悪魔に―――主(紅龍様)に捧げたけど。
愛しい我が子。恐らくフラシュ様の所に行っているだろう。
愛しいものは、捧げなくてはいけないのである、それが魔女の鉄則。
伴侶が殺しあわないだけまだマシなのだ。
多少苦い感情を抱きながら。
あたしの20人だ。こんなに持って来る人は多いらしく、学園調整に褒めらた。
でも、キラキラした目で先輩と寄って来る特待生には関係ないことだ。
可愛いわねぇ。食べちゃいたい。あたしロリ趣味あったっけ?
そんなバカなことを考えている間に後夜祭が来た。7日間の魔女の祭典。
あたしと先輩はバラバラに行動だ。派閥が違うので仕方ない。
そんなことは、この50年で把握済み。
そしてあたしは、先輩がいないのをいいことに火遊びする。
賢魔系の、初々しい後輩に気持ちいい事を教えてあげるのだ。
今回も可愛いアヘ顔を頂戴しました。
その他に、悪魔と火遊びするのもあり。中級悪魔ね。こっちは気合が入るけど。
あたしの院議に、中級悪魔もビックリである
そして、同級生との再会。
まずカーミラが目に入ってきた。
「はーい、元気?」
「対悪魔機関が厄介ですけど………元気に決まってますでしょ?」
「はいはい、あんたのお家は中央に近いもんね」
いつも通りだ。
「でも、ローナが死んだらしいですわ」
「!本当に!?魂はどうなった!?」
「知りませんわ。派閥が違うのですから」
「そっか………」
他の同級生―――ユフィカは無事だった。抱きしめる。
あらゆる星に渡り歩いて、主に人を捧げているという。
ユフィカの実力だったら、楽勝でしょうね。
メーベリーは生きてるという事だけは分かった。
学園の中でも裏の部隊に所属しているそうだ。
シスターエレニアに聞いたら教えてくれたのである。
でも、ローナの消息を知ってる人はいなかった。
これ以上を知ろうとすれば、悪魔に頼る事になるだろう。
ちょっと暗がりに隠れて妖精さん(奥方様)に聞いてみる。
卒業したから本が無いので、シュールやペインに気軽に聞けないのが不自由ね。
((フランちゃんが聞きたいのは魂の消息?))
「そうです。魂さえあれば
((そうね、魂の行方を調べられる悪魔を紹介するわ))
「ホント!?嬉しいわ」
((普段は賢魔領の不要書類を処理している娘よ、でも廃棄書類とはいえ、組み合わせたら強大な力を成す事もできるものでね。裏の物知りと言った所かしら))
「帰ったら召喚方法を教えてください!」
「はいはい」
♦♦♦
そうそう、うちの屋敷に天使の監視がついた。
バーベキューのときとか「来ない?」と言ってみたのだが、ブンブン首を振って辞退された。今日のは人肉じゃないのに。
それより、ローナの消息だ。
相手は最上級悪魔だという事で、生贄は3人用意した。
呪文を唱えて―――
「権限せよ!書類の悪魔!」
あたりに霧をまき散らすこの悪魔が、ローナの行方を調べられる悪魔か。
召喚の儀をが始まる、書類の悪魔
「私の名前はよしなに、フィリスともうします」
島入りいっぺんのやり取りだけで、彼女―――リフィスさんはこっちの訴えを聞いてくれた。なるほど、正規の書類も見てみましょう。と。
「不要書類の担当じゃないの?」
「不要書類には、正規の書類の書類の情報も多分に漏れているのですよ、実験なども抜けている事柄があります。私はそれまとめて、各部門に回しているのです」
「なるほどー。ローナの魂を探す情報を見てくれるのね」
「ええ、任せて下さいな」
彼女は、ページ数に制限がないような、分厚い本をバーッと繰っていく。
そのうち、ページが銀色に、ついで金髪に輝きだす。
「今、ローナをコレクションしているあくまが判明しました」
「ホント?でも永久貨幣を3体も見つけて交渉したら丈夫よね!?」
「それはかなりの捧げものですし、大丈夫でしょう。ただ私の正体をの明かさないで下さいね。ひっそりと書類たちと暮らすのが私の望みです」
あたしはフィリスに礼を言って、そいつの召喚陣を教えててもらった。
体がきついが黙っていられない。ローナの永久貨幣が得られるなら安いものだ。
あたしは、狩りに出た。
魔女の支配下に完全におさまる贄は、永久貨幣と言って、悪魔にも通常の貨幣があるが、飛び切りの高額がつくのである。
ただ今回は、コレクター悪魔だという事で、綺麗な―――神聖な魂を混ぜてある。
深夜。他星の深い森
モンスターがいたけど、なんとなく懐かしく思いながら蹴散らしていく。
魔女術の祭壇を組んで………あたしもシスターに頼らなくても祭壇が組めるようになってきた。媒介なんかは、とれる場所を心得た。
天使も飛んでないし、レッツゴー召喚!
その悪魔は、外見からして淫魔だった。
シュールを見慣れてなければ、見とれていただろう。
金髪波打つロングヘア―、青い瞳、白皙の美貌。
通りいっぺんのやり取りをして、場が落ち着く。
あたしは、ローナの入った永久貨幣を所望した。
「結構複雑なルートで手に入れたんだ。どうやって知った?」
「詳しくは言えませんけど、事務員さんです」
「事務員………納得がいかないな。ただの事務員ではないようだね………ここはそれ以上は聞かないよ」
「ありがとございます、では?」
「この少女の入った永久貨幣―――封印具は君の物だ」
後は悪魔の力を使わなかったので、あたしの調節ポッドを使う。
永久貨幣から、ローナの身体構造を読み取って―――て、ローナのやつおねにい様になってるじゃいの!?精神は男でも女でもない精神状態なのかしら。
慎重に、永久貨幣からたましいをぶんりする。
それをさっきの器におさめてっと。
魂が封印具(この場合永久貨幣)から出て、転生の輪に飛んで行かないように、ローナの体と魂は、新しい体に定着させる。
あたしはひとまず、就寝する事にした。
次の日地下に入ってったら、ばつの悪そうなローナが目に入った。
「フランが、助けてくれるなんて」
「あんたはあたしの友達よ。勝手に死ぬなんて許さない」
「賢魔系に蘇生されたとなると問題だけど、あたしは派閥に帰るわ」
「帰らなきゃいけないでしょうね」
「いいな、フランは基本、放任されてるんだよ」
「それは何となく分かる………」
ローナは有難うと、あたしの頬に口づけすると『テレポート』で去っていった。
先輩が戦死したら、あたしはどうするだろう。
ローナにしたみたいな事ができるだろうか?
いや……魂封印具が追い付かなかったら、魂は次の転生に行っちゃうでしょうね。
そうなると、あたしにできることはなにもない
とりあえず、ローナの後を見送りつつ、賢魔系に蘇生された淫魔系。
風当たりが厳しいのは分かっている。
でも、あたしはそうしたかったのよ。それだけ。
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