故ノ屍・死神

 なんて、冗談を交えつつ話していた。


「で、ですね。現在、日本には私が把握しているだけでも30人ほどの死神が居ます。

 それとは別に、【ハグレ】が10人……この【ハグレ】っと言うのは、掟を破り今現在指名手配されている死神たちの総称です」

「なんで、そんな事……」

「……【ハグレ】は、人から死神になった者がほとんどです。日本には10人ですが、世界規模で見たらもっといます。

 生前の恨みなどが原因で力を悪用するんですよ。ですが、中には生まれつき死神だった者もいます。

 彼らの場合は、自分たちよりも劣る人間を玩具にしたいとか死に際の顔を見るのが好きだとか言う悪い趣味を持っていましてね。何かをきっかけに、箍が外れ【ハグレ】になってしまうんです」

「そう言う考えの奴には力をやらなきゃ良いのに……」

「難しいですね。そもそも、生まれつき持ってる力なので奪うのは容易ではないですし……危険思想を持つ死神は監視役を付けてもいたんですよ。

 殺されたか、洗脳されて共に【ハグレ】になったのがほとんどですが」

「……死神も大変なんだね」

「そうですよ。なので、怪談で語られる人を襲う死神は【ハグレ】です。

 本来の死神は、あくまで魂の回収者・導き手なんです」


 死神はいつも飄々としてるくせに……その時は少し、悲しそうな顔してそう言ってたよ。で、話は変わるんだがこの死神。今現在、私の飼い猫の守護神をしている。


 ペットショップからお迎えし、家に連れ帰った日にたまたま遊びに来ていた死神が一目ぼれをして半年後。


「あの、改めまして。本日より、飼い猫様の守護神になった死神です」

「帰れ」

「嫌です。不束者ですが、これからよろしくお願い致します」


 なんでも、死神としての仕事と並行してうちの子の守護神になるとうえに勝手に掛け合ってたらしい。で、うえから出された条件が


1,うちの子に会いに行くのは一カ月に一度(今までと変わらん)。

2,代わりに、死神不在でも大丈夫なようにもう一匹強い守護獣をつける。


 だったらしい。これ以上、ごねるとうえの命令無視して私を生かしてることとかを追及されそうだなと感じた死神は渋々その条件で折れたという。


 なので、うちの飼い猫はなんか強いの2匹(?)憑いてる。


 ちなみに、黒猫の方にはあの白いワンピースの女性が憑いてるんだ。もちろん守護霊として、北海道から帰って1年したあたりでうちに押しかけてきて窓バンバン叩かれて「うっさいんじゃボケ ! 」っと最初怒鳴りつけ。

 それでもめげずに階段を這い上がって来たので「邪魔」って蹴とばしたんだが……よほど話を聞いて欲しいのだと思い、聞いたら守護霊にしてくれと言われた。

 でも、私はもうすでに狐が3匹。女中が2人。薙刀の九十九神が1柱。昔の飼い猫と飼い犬っと計8守護いたので困ってしまったんだ。だけど、ふっと黒猫の守護霊1人だしと思い出して提案したら嬉しそうに引き受けてくれた。

 なんか、前世で助けられた恩返しって言われたよ。恩返しなら、もっと普通に来い。

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