故ノ屍・死神
これが、おそらく最後の話。私がまだ、自分の霊感を自覚する前。
小学生の頃、お盆になると我が家には親戚が大勢集まってきていた。ある時、いつもの様に親戚たちが集まる中に1人見慣れないスーツ姿の男性が紛れ込んでいたんだ。
オールバックでガタイも良くてぱっと見、ヤのつくご職業の方かと思う様な風貌の男性。親戚にこんな人いたかっと思っていると、男性が私に声を掛けて来た。
「あの、生きて……らっしゃいます ? 」
そう言われた私は、相当に酔っぱらってるんだなっと思っていたんだが従妹に呼ばれ家に入る。そして、
「なんか変なおじさんいた」
「え、どんな人 ? 」
「スーツ着た大きな人……あ、ほらあそこ ! 」
「どこ ? そんな人いないよ ? 」
「惠ちゃん嘘つきだ~」
っと言われてしまい困惑した。飲み食いが一通り済むと、親戚たちは徐々に帰っていき私は庭に出て夕涼みを楽しむ事に……すると、またあの男性が声を掛けて来たんだ。
「先ほどは、すいませんでした」
「おじさん誰 ? 」
「おじっ……ま、まぁ…………確かに今の私は何処からどう見てもおじさんですね。しかし、その呼び方は勘弁ください」
そして、自己紹介をされた。ここでは、聞いた名は伏せさせてもらう。
プライバシーの侵害にありかねないしね。……冗談はさておいて、男性は以降【死神】とする。
「死神……私の事つれていくの ? 」
「そんな事はしません。私は【ハグレ】ではないので」
「【ハグレ】 ? 」
「……今のあなたに言っても理解できないですよ。もう少し、大きくなったら教えましょう」
死神は少し躊躇いつつ私にそう言うと、続けてこう聞いてきた。
「ところで……あなた、名前は【ひとみ】で合ってますか ? 」
「違うよ。【ひとみ】はおばあちゃんになった時に変だからってお祖母ちゃんが言ったんだって」
「なるほど。それでですか」
名前を聞いた理由は、この時は教えてくれなかったんだよね。かわりに、
「あのですね。あなたは、本来すでに死んでいる筈なんです。
こんな感じの当時の私にはちんぷんかんぷんな話をされた。
「私凄いの ? 」
「そうですね。凄いです。
……私は、やはりあなたとあの方の側につきます。
それから、ちょいちょい死神は私の元に現れるようになったんだ。最初の頃は、ずっとオールバックでスーツ着てる男性だったけど徐々に女性や子供……時にはお年寄りの姿で現れる様になったんだよね。
でも、魂は同じだからか同じ死神だって私には解っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます